減農薬の野菜なら安心ではない時代

最近は、スーパーにもオーガニックや無農薬野菜の小さなコーナーが見られるようになりました。安心してそこで野菜を選んでいる消費者もいると思うのですが、安心してばかりはいられないデータがあります。

日本の農産物の中の、農林水産省が認定したオーガニックの比率は、なんとたったの0.18%。少しずつ増えているとはいえ、1%にも遠く及ばない数字です。これだけの収量しかなくて、果たして全国のスーパーのオーガニックコーナーに商品を行き渡らせることができるのでしょうか。

減農薬野菜

減農薬野菜

各スーパーのオーガニックコーナ一に置いてある無農薬と謳われている商品も、そのまま鵜呑みにして信用することはできないのかもしれません。正確には、オーガニックの認定を受けて有機JASマークが表示されている作物に関しては信用していいと思います。ただ、無農薬栽培、無化学肥料というのは明確な規定があるわけではないので、どのようにでも表示できてしまうのです。

無農薬栽培とすることが付加価値となり、高く売れるという事実があるため、そこをうまく利用している人たちもいることはいます。もう一つ、日本農林規格(JAS規格) による検査に合格して、オーガニックと表示できるようになるためには結構なお金とものすごく面倒な手続きが必要で、かなり高いハードルがあります。

農薬も化学肥料も使わずに野菜を作っている農家を個人的に何軒も知っていますが、いずれも認定を受けてはいません。費用と手続きの煩雑さがその理由です。けれども、そういう農家でこそ、完全なオーガニックで野菜が作られていることも事実です。でも、その作物がスーパーに出回ることはなかなかありません。

このような状況を考えれば、実際にはオーガニックの比率は0.18%よりもっと高いかもしれないのですが、そこで作られた作物と消費者が結びつかないというのが現状で、難しいところでもあります。

朗報として、全国の農家にアンケートを取った、こんな結果があります。全国の慣行農法(農薬や化学肥料を使って行なわれる従来の農法)で農業をやっている農家に、オーガニック農業に切り替えたいかという質問をしたところ、何と32%がオーガニックに移行したいと回答したのです。

消費者が、本当にオーガニック野菜を食べたいと声を上げれば、それを供給してくれる人たちはいるということです。オーガニック農業に切り替えると、収量が減るとか、虫がたくさんつくとか、非科学的李」とを主張する人たちがいますけれど、これはまったくの偏見です。

このことに関しては、カリフォルニア大学のヴァシリキオティス博士という方が、オーガニック農法は慣行農法に対してまったくひけを取らないものであり、それどころか作物によってはオーガニック農法のほうが収量が多いということを、8年という月日をかけて証明しました。

あちこちの農地に行って記録を取ってきているのですけれども、高知県で次のような事例がありました。同じ条件の土地に、慣行農法の畑とオーガニック農法の畑がたまたま隣接していたのです。あるとき豪雨に見舞われて、慣行農法の畑は化学肥料のために畑が泥化して全部流されてしまったのですが、なんとオーガニック農法の畑にはまったく被害がなかったのです。きれいにそのまま作物が生っていました。

農家の人たちは、長年の経験からそんなことは百も承知なのです。だからこそ、32%もの人たちが、オーガニックにしたいと言っているのでしょう。虫についても同様です。本当にきちんとオーガニック農法をやっていくと、野菜自身が様々な植物化学物質を発することで不必要な虫は寄せ付けなくなるのです。

自然の野菜は強いものなのです。ただ、キャベツや白菜などの外葉は虫に食わせます。いくつかのアブラナ科の植物は、特徴の1つとして結球する性質を持っています。葉を巻いて丸まっていくのですが、そのときに外葉は結球しないようにできていて、芋虫に食べさせるのです。その芋虫が育って蝶々になると、次の受粉を助ける役割を果たします。自然はうまく循環するようにできています。

今、オーガニック・無農薬より広く行なわれているのは、減農薬栽培です。たくさん農薬を使うよりはマシだろうと思って減農薬の野菜や果物を選んでいる人は要注意です。

というのも、減農薬というのは、規定がより曖昧なのです。その地域で一般的に行なわれている慣行農法の半分の量の農薬であれば、減農薬と表示していいことになっています。地域によって使われる農薬量はまったく違いますから、半分に減らしても、他の地域より多いということはあり得ます。

また、どんなに強力な農薬を使ったとしても、量が半分でさえあれば減農薬と表示して構いません。

例えば、ネオニコチノイド系の農薬を使っていても、半分でさえあれば減農薬と表示できるのです。ネオニコチノイド系の農薬は、世界中でミツバチが激減してしまった原因とされていて、ヨーロッパ各国では相次いで使用禁止になつているほどのものですが、日本ではむしろ、規制を棲める方向に動いているのが現状です。

このように基準が非常に曖昧なため、かえつて悪いものもあるのです。ですから、減農薬と表示されていても、普通の農薬を使った作物よりも安全性が高いとは一概には言えません。

ところで、リンゴなど、「減農薬がせいぜいで、完全無農薬で育てるのは無理」とよく言われていますが、決してそんなことはないと思います。100年前を考えてみてください。世界中に豊富にあったリンゴはすべてオーガニックで育てられていたのです。そもそも、果樹も自然の中にあるものですから、本来は農薬も化学肥料も使う必要はないのです。

ここでも、消費者はまんまと引っかかっているのです。要するに、消費者が「果物は無農薬・無化学肥料でやっていくのは難しいんだね」と思ってくれたら、農薬を推進する側にとってはもってこいではないですか。そういう常識を作ることによって利益を得られる人たちが、そう主張しているだけのことなのです。

農業に関わる人たちがすべて、純朴で朴調ないい人たちとは限らないということは認識しておいてもらいたいのです。肉屋にも八百屋にも、ミュージシャンや画家にだって、どんな業界にも腹黒い人間はいるでしょう。この問題も複雑な背景から起きていることですので、単純に解決することはできないと思いますが、果物を完全に無農薬・無化学肥料で育てるのは難しいということは、そうしておきたい人たちが言っているだけです。

そんなはずはありません。本当は可能なのです。現に、完全なるオーガニックで果樹を作っている農家の人たちはたくさんいます。ただ、そういう中にも、自宅用の果樹園はまったく農薬も使わず栽培するけれども、残りの畑では大量に農薬を使って出荷しているという人もいます。無農薬でも十分できるけれども、それでは市場で通用しないので、仕方なく慣行農法で作って売るわけです。

オーガニックにすると、今よりも果物が高くなるのは確かです。私は個人的には農薬を使わずに安全な果物が食べられるほうがいいと思っていますので、高くてもなるべくそういう農家から買うようにしています。本当に誠実に無農薬・無化学肥料にチャレンジしている人たちがいますので、自分のできる範囲でそういう人を応援するという意味からも、消費者の1人として購買行動で支えていくつもりです。私のような消費者の数が増えれば、まったく問題なくオーガニック農法がどんどん広がると思います。

果物は無農薬では難しいというのは、単なる思い込みですから。消費者の意識と行動が、農業のオーガニック移行を妨げているということを、消費者自身が認識すべきです。海外旅行や携帯電話に大金を注ぐくらいなら、自分を作ってくれるまともな食べ物にきちんとお金を使うほうがいいのではないでしょうか。これからの私たちのありようとして、自分こそが最も信頼のおける資産だということに読者には気づいて欲しいですし、その資産にこそしっかり投資をすべきでしょう。

自分が食べる物が、結局自分になっていくわけですから、食べ物が安全であることに価値を見出せるかどうかは、自分に価値を見出せるかどうかと同じことなのです。

今後の最も大事なテーマになるでしょう。賢明な読者の方々はもう百も承知のことだろうと思いますけれども、金融は実質的に崩壊しています。それは日本だけでなく、アメリカもヨーロッパも中国も同様だと思います。そういうものに血道をあげて夢中になるよりは、本当に重要な資産に真っ当な投資をしていくべき時代が来ているのではないでしょうか。

そのために、作物がオーガニックであることはとても重要なファククーになることでしょう。

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