ファースト・フードの油

脂肪には大きく分けると3つの種類があります。

  1. 飽和脂肪
  2. 単不飽和脂肪
  3. 多不飽和脂肪

の3つです。

飽和脂肪の特徴は室温で固体状をなすことで、肉類に多くふくまれています。だから動物性脂肪ともいわれるのですが、植物油のなかにもこれを多くふくんでいるものがあります。

ココナツ油、ヤシ油などだ。現代人を病気にさせている(あるいは不健康にさせている) 原因の1つは、この飽和脂肪のとりすぎだと警告されています。
ステーキやすき焼きをいつも食べているような人はとりすぎの筆頭ですが、そういう高価なものとは無縁の庶民も相当量の飽和脂肪をとっていて、それが病気につながっているのです。

とりすぎになっている最大の理由は2つあり、1一つはファースト・フードとレストランです。

もう1つは冷凍食品と加工食品の普及です。アメリカでは1日に4500万人もの人がファースト・フード・レストランで食事をしていて、マクドナルドだけでも年間に600億個ものハンバーガーが消費されています。むろん料理はハンバーガーだけではないので、選択の幅はあるけれども、ファースト・フード・レストランでは、だいたい何を食べても飽和脂肪のとりすぎになります。

なぜかというと、飽和脂肪を高率にふくんだ油を調理に使っているからです。飽和脂肪は不飽和脂肪に比べると熱による変化が起きにくい特徴があります。

植物油や魚の脂に多くふくまれている不飽和脂肪は熱によって酸化しやすいけれども、飽和脂肪は比較的安定しています。だから大量の揚げものをやらなくてはならないファースト・フード・レストランでは飽和脂肪を使うということです。

牛脂、ラード、ココナツ油、ヤシ油などである。わが国でもトンカツ屋はラードを使っているところがほとんどです。そこでトンカツを考えてみると、豚肉自体に飽和脂肪が多いうえに、飽和脂肪を高率にふくんだ油で揚げているのだから、これをいつも食べているような人は当然、飽和脂肪のとりすぎになります。

トンカツのように甚だしくなくても、えびフライや魚のフライを食べてもやはり飽和脂肪のとりすぎになります。えびや魚自体にはほとんど飽和脂肪はふくまれていないけれども、ころもにたっぶり飽和脂肪が渉みこんでいるからです。

この飽和脂肪の害が問題になって、アメリカでは1986年に、マクドナルドとバーガ・キングが、揚げもの用の油を牛脂から植物油に切り換えると発表しました。

他のレストランのチェーンもそれに追従したところが多く、アメリカ人の飽和脂肪の摂取量は確かに減少したけれども、今度は別の問題が起きています。

植物油を変質するまで使いつづけることによって起こる害です。植物油は不飽和脂肪を多くふくんでいるのだから加熱すると酸化しやすくなります。だから何度も揚げものに使っていれば当然、酸化します。

そして、酸化すると過酸化脂質という有害な物質が生成されてしまいます。その害が今度は大きくなったのです。それにまた高温で加熱すると植物油はトランス型という異性体を生み出します。油を構成している不飽和脂肪酸の配列が変わってしまうのです。

自然の状態ではシス型という配列になっているものが、トランス型という不自然な配列に変わるのである。このトランス型になった脂肪酸もまた有害で、体内の重要な代謝を妨害します。多不飽和脂肪酸がプロスタグランジンという局所ホルモンに変わるのを妨げます。そして、健康のレベルを低下させていく。では一体どうしたらいいのかというと、できるだけ揚げものを食べないようにすることしか防衛策はないのです。

脂肪分の多いものは極力避ける習慣がとても大切です。

卵のサルモネラ菌は水滴が原因

冷蔵庫で濡れないように注意

卵の不安は3つです。

  1. 食中毒を起こすサルモネラ菌の問題
  2. 鶏の病気予防に使われる抗菌性物質が卵に残る不安
  3. ダイオキシンなどの環境ホルモンに汚染されている不安

サルモネラ菌は、鶏のエサなどと一緒に入り込み腸の中に侵入します。そして、産卵のときに卵の表面にくっつきます。卵の殻には、空気が入るくらいの小さな穴が開いていて、表面についたサルモネラ菌は、その穴をとおって卵の中央に侵入します。

卵には自然に備わった酵素の働きによる殺菌パワーがあるので、卵の中に入ったサルモネラ菌は簡単には増殖できません。ところが、そのままの状態で、卵の鮮度が落ち、殺菌パワーが弱まるのを待ちます。弱まるにつれて次第に増殖。

新鮮であれば、たとえサルモネラ菌が入っていても、中毒を起こすことは考えられません。卵は目付けの新しいものを選びます。

抗菌性物質の不安を避けるためには、赤玉を選ぶこと。赤玉を産む赤鶏は病気に強いため、抗菌性物質をあまり使わなくてすむからです。卵を安心して食べるためには、まず、冷蔵庫の管理をよくします。

実は、卵置き場はとても汚れていると思ってよいでしょう。アルコールを含んだ綿で、たまった汚れを拭きとります。また、卵の表面に水滴がついていると、表面についたサルモネラ菌が水分とともに卵の中に侵入します。

水滴はそのままにせず、拭きとること。このときアルコールを含ませた綿やふきんなどで拭けばなお安心。ちなみに、冷蔵卑のパッキングが悪いと卵に水滴がつきやすくなります。ゆるんでないか確認しておきましょう。古い卵は生では食べないこと。生で食べるなら新鮮な卵を。

古いと思ったら、必ず卵焼きなどの加熱調理に回します。サルモネラ菌は熱に弱いので、これで安心。

また、卵と一緒に食物繊維をとりましょう。食物繊維は抗菌性物質などを吸着し、体の外に排泄する働きがあるので、除毒のためのよい方法です。「にら玉」「ひじき入りオムレツ」などがおすすめです。

レバーは、栄養が豊富な反面、汚染物質が集結する部位

血抜きと醤油につけるのが決め手

レバーは鉄分が多く、ビタミンA、Bl、B2などを含む栄養豊かな食品です。ところが、レバー、すなわち肝臓は、解毒の役目をするところ。農薬や抗菌性物質、ダイオキシンなど汚染物質が集結します。牛、豚、鶏レバーとも条件は同じです。

レバーは、このように汚染物質がたまっている不安がありますが、下ごしらえでかなり解消できます。まず、安心なレバーの選び方。「つやがあって色のよいもの」「黄色い脂肪のないもの」を選びましょう。下ごしらえは脂肪をとることから。脂肪の中に、汚染物質がけつこうたまっているのです。

つぎに血抜きをします。薄い塩水にしばらくつける。そのあと、もみ洗いをして3回ぐらいすすぐ。これで汚染物質をずいふん減らすことができます。そして、しようがじょうゆなどにつけこみ、下味をつけます。

しょうゆが残りの汚染物質を引きだして、さらに安心。このとき、臭みをとるために牛乳につけるという方法もありますが、牛乳には汚染物質を引きだす力はありません。
まず、しょうゆゆにつけてから、そのあと牛乳につけるとよいでしよう。

挽肉は、脂肪の量を基準にして選ぶことがポイント

ひき肉を湯どおしする極意

同じひき肉でも、脂肪分があるものよりは、ないもののほうが安全。ひき肉は脂肪ごとひいてあるので、脂肪にたまる抗菌性物質やダイオキシンの不安を、そのまま抱えているのです。

最近は、「赤身」のもの、「低脂肪」のもの、脂肪の量を表示したものなどが出回っています。大いに利用しましょう。

安心して食べるための意外なテクニック。ひき肉を湯どおしすること。「えっ、そんなことができるの? 」と思ってしまいますが。タンパク質は熱で固まる性質があるので大丈夫。

ひき肉をこし器に入れて、沸騰したお湯にサッとつけます。これで脂肪分も落とせるし、抗菌生物質などの不安物質がお揚に溶けだして安心。

コロッケやそぼろ、ドライカレー、ミートソースなど、どんなひき肉料理でも湯どおしすればOK。ミートボールの場合は、揚げる前に団子を熱湯に落とし入れます。

しばらくしたら引きあげますが、安心度が増すだけではなく、しっかりとまとまって揚げやすくなります。さすがにハンバーグステーキは湯どおししてぼろぼろになったひき肉ではまとまりが悪くなります。代わりに脂肪分が少ない赤身の牛ひき肉を選ぶようにしましょう。

国産の安心挽肉はこちら。

鶏舎ですし詰めにされて育てられたブロイラーの危険性がある「鶏肉」

ブロイラーを安全に食べる方法

鶏舎ですし詰めにされて飼われているブロイラーは、病気も発生しやすくなっています。そこで、病気予防のため、抗菌性物質を使います。鶏肉には、その抗菌性物質や、環境ホルモンのダイオキシンが残っている不安が指摘されています。

安心して食べたいなら、そして予算さえ許せば、地鶏を選ぶほうがよいでしょう。地鶏は、大量生産されるブロイラーに比べて、自然に近い方法で飼育されています。地方の在来種を改良したもので、飼育期間が長く管理が行き届いているぶん、抗菌生物質を使う必要が少ないのが特徴。

ダイオキシンの不安も少ないはず。ただし、地鶏は生産量が少ないため、どうしても価格が高くなりがち。いつも使うわけにはいきませんが、「チキンカツ」や「チキンソテー」のように塩コショウだけで味つけをして素材を楽しむ料理なら、地鶏や飼育方法を工夫した銘柄の鶏のほうが安心。奮発してしまいましょう。

下味をつけたり、ゆでたり、蒸したりする料理なら、ブロイラーでも安心して食べられます。

では、安心調理のテクニック。まず、「脂肪の部分をとり除く」。理由は、抗菌生物質などの不安物質は脂肪部分に残りやすいから。なお、若鶏肉のほうが成鶏肉より脂肪が少ないことを覚えておきましょう。

最近は、皮をとったもも肉や胸肉も出回るようになりました。「唐揚げ」などに使う場合は、鶏肉を「斜めそぎ切りにする」。切り口を広くするためで、広ければそれだけ味もよくからみ、不安物質が溶けだしやすくなるのです。

「二倍に薄めたつけ汁に五分ほどつける」これで、不安物質が汁に溶けだし、さらに安心。汁を切ったら、あらためて本づけをして味をからませます。「蒸す」のも安全性を高めるよい方法です。蒸し鶏にすると、余分な脂肪がとれ、一緒に不安物質などもとり除けます。蒸し皿にたまった汁は捨てること。

ついでにいうと、「よく火をとおす」。これは不安物質の除去というよりは、食中毒対策です。厚生労働省が食中毒の病因物質に指定した「カンピロバクター」という食中毒菌は鶏肉に発生します。

ただ、熱に弱いので、よく火をとおせば大丈夫。外側は火がとおつていても、中はまだ生ということのないように気をつけましょう。

鶏肉も、牛肉豚肉と同じく生鮮食品の1一つなので、JAS法による原産地表示が義務づけられています。原産地表示については、牛肉、豚肉の場合と同じです。また「地鶏」は、「特定JAS」としてあつかわれています。ちなみに「特定JAS」のマークは、JASと同じように、専門の格付機関によって認証された製品にのみ貼ることができます。

もし表示が正しければ、地鶏肉の安全度は高いと考えてよいでしょう。さて、地鶏とまぎらわしいのが銘柄鶏です。これは肉専用鶏で、鶏自体は普通の肉鶏ですが、飼育日数を延ばしたり、資料を工夫したりしたものです。飼育期間や飼育日数については規定はありません。

主なものに、上州赤鶏、伊達鶏、地養鶏などがあります。地鶏肉ほどではありませんが、一般の国産鶏肉よりは不安物質の心配は少ないと思われます。ほかにも、無薬飼料鶏肉というのがあります。

一般の密飼いの鶏は病気を防ぐために飼料に抗菌性物質を混ぜますが、これは平飼いなどして、飼料に抗菌性物質を混ぜないで飼育した鶏肉です。表示が正しければ安全度は高いでしょう。「国産鶏肉」は、地鶏、銘柄鶏以外の国内一般の鶏の肉で、原産地表示は国産となっている場合が多く見られます。

「安全度はやや低いと思われます。料理中の過程で除毒の効果が大きいと考えられるカレー、唐揚げ、チキンカツ、クリームシチュー、照り焼きなどの料理に使うとよいでしょう。

また、最近は冷凍の輸入鶏肉が増えました。さらに、チルド鶏(0度で輸送)も増えつつあります。安全度、料理などは国産鶏肉と同じです。なお、鶏肉も牛肉、豚肉同様、種類、部位、用途を表示することになっています。表示の抜け道には、以下のようなものがあります。

  1. 生体を輸入した日から、1ヶ月以上飼育されたのちに処理された鶏肉は「国産品」という表示をしてもいいことになっています。
  2. 鶏肉だけ串に刺してあり、加熱していない焼き鳥用の肉は生鮮食品で原産地表示が必要ですが、肉の間にねぎなどの種類の違うものを含んでいる焼き鳥肉は加工食品で、原産地表示の必要はありません。

豚肉は、表示の見方、調理方法が高い安全性を実現する

yゆでるか、2度づけ。基本はこれでOK

豚肉にもいくつか種類があります。選ぶなら、ちょっと予算をオーバーしそうですが、産地がはっきりした黒毛豚肉(黒豚)かSPF豚肉がベスト。

黒豚は時間をかけてじっくり育てるので、安全度が高いといわれています。SPF豚は、豚舎を消毒し、滅菌処理したエサを与えて育てています。そのため、抗菌性物質を使う必要が少ないのが安全の理由。また、豚肉は脂身の少ない部分がより安心です。さて、普通の豚肉を安心して食べるには、ゆでてアクをとったり、下味をつけるようにします。

薄切り肉は、肉の脂身の部分をとり除き、水からゆでるのがコツ。このほうが油がよく抜けるし、抗菌性物質などの不安物質を減らせます。また、不安物質がアクになって浮いてくるので、それを丹念にすくえば万全。

このあと、水気を切って料理に使うもよし。そのまま野菜と一緒にサラダにしてもおいしくいただけます。「豚肉のしょうが焼き」は、下味をつける調理法が安心のおすすめメニュー。

コツは、つけ汁を途中でかえること。最初のつけ汁は、水で倍に薄めて使います。つける時間は10分ぐらい。抗菌性物質など不安物質がつけ汁に溶けだすので、肉を引きあげて、つけ汁を捨てます。つけ汁を薄めるのは、味が濃くなりすぎないためのワザ。つぎに、つけ汁を普通の渡さにして本づけ。味がしみたところで、ジュツと妙めます。

同じように、「みそづけ」「粕づけ」も安心度アップのメニュー。ただし、不安物質が溶けだしたみそや粕は、肉をぬぐつてよく落とし、捨ててしまうこと。

「豚肉のソテー」や「とんかつ」のように、下ごしらえのできない単純な料理の場合はしかたありません。黒豚やSPF豚のような上質で安心の肉を選び、おいしくいただきましょう。

なお、豚肉にもJAS法による原産地表示が義務づけられています。原産地表示に関しては、牛肉の場合と同じです。また、銘柄豚肉の表示についてもいくつか。まず、もっとも有名な「黒豚」にだけには法律上の基準があります。

「バークシャー純粋種のみを黒豚と表示できる」というものです。「○○黒豚」と地域名が入っているものもありますが、この場合の地域名と原産地とは一致しているものがほとんどです。

黒豚は、市場に出るまで8ヶ月から12ヶ月はかかります(普通の豚6ヶ月)。肥育期間が長いので品質がよくなり、管理もよいので、抗菌性物質などの不安が少なくなります。ただ、純粋な黒豚肉の供給量は豚肉の2パーセント程度といわれており、そんなに多くは出回っていないはずなのです。ですから、黒豚表示が多い店では、偽装表示の恐れがあると見てよいでしょう。

地名豚肉は、国産表示の豚肉よりは安全度が高いと考えてかまいません。また、「国産」とのみ表示されている豚肉があり、これは、大変多く見かけられますが、抗菌性物質などの不安があります。除毒過程のある料理、豚汁、酢豚、煮込み、シチューなどの料理に利用するのがよいでしょう。

最近は輸入豚肉も増加していますが、生産現場が見えないだけに、国内産より汚染物質への不安があります。国産と同じく、除毒メニューで対処しましょう。

また、「SPF豚」は銘柄ではなく、育てられ方の区別によっています。一般に特定病原菌(豚流行性肺炎など) 不在の豚のことです。ただし、無菌豚ではありません。

現実的には無菌豚は存在しません。抗菌性物質の不安は少ないでしょう。一時期は市場でよく見かけましたが、最近ではあまり見かけなくなりました。なお、豚肉も牛肉と同じく、種類(豚)、部位( ロース、ヒレなど)、用途(とんかつ用、ポークソテー用など) を表示することになっています。表示に関する抜け道は以下のようなものです。

  1. 外国で生まれ育ち、生きたまま日本へ輸入された場合、日本で2ヶ月以上飼育されウ「ノたのちに処理された豚の肉は「国産」という表示になります。
  2. パン粉をつけたとんかつ用の豚肉は加工食品となり、原産地表示の義務はなくなります。
  3. 焼き肉のタレや塩ダレをつけた豚肉、スパイスをかけた豚肉は、いずれも加工食品となります
  4. 豚だけのひき肉は生鮮食品で、豚、牛の合いびきは加工食品となります。

賢い消費者が注意する「牛肉」の知識

毒消しは5分でできる

一口に牛肉といっても、「和牛肉」「国産牛肉」「輸入牛肉」とあります。また、JAS法が改正されたため、生鮮食品の1つとして、原産地表示が義務づけられました。

原産地表示についていえば、国産品は国産である旨を表示します。この場合は、都道府県名、地名でもかまいません。輸入品は原産国名が表示されます。

なお、JAS法では、産地を「一番長く飼育された土地」と定義しています。いわゆる「銘柄牛」には「和牛肉」と「地域銘柄牛肉」の2種類があります。「和牛肉」は品種名を指します。

「和牛」は、法律で4品種(黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種種)だけを示すことになっています。ですからほかの品種を「和牛」と称するのは法律違反になります。

もともと食肉用に飼育され、品種もよく、安心度は高いと見てよいでしょう。なお黒毛和種がほとんどですが、供給量が限られているので(国産牛の約40パーセントくらい)、この表示の肉が多く並べられている店の場合、偽装表示の心配があります。

「地域銘柄牛肉」は、松坂牛など産地の名前のついた牛肉で、これが商品名になります。ただ「○○牛」(○○のところに地域名が入ります) という形で地域が明示されている場合でも、必ずしもその地域が原産地を表しているとは限りません。

また、「和牛」と表示されていない限り、その牛肉は「和牛」ではないことも知っておくこと。「和牛」や「地域銘柄牛肉」の安全度は、国産牛という表示の牛肉よりは高いと考えてよいでしょう。

つぎに、「国産」とだけ表示されている牛肉ですが、これには以下のような種類のものがあります。

  1. 和牛や地域銘柄牛以外の肉専用牛肉
  2. オスの乳牛(去勢牛の肉)
  3. メスの乳牛(搾乳しなくなった乳牛〔廃用牛〕肉)
  4. 黒牛・黒毛牛(外国種のアンガス種系統牛の肉)

ポイントは、ただ、国産と書いてあるものや、都道府県名が書いてあるものよりは、地域名の原産地表示のあるものを選ぶこと。国産牛の安全度は銘柄牛に比べるとやや低くなります。
この牛肉の場合は、たれにつけるなどの除毒の過程のある料理(たとえば焼き肉、シチューなど) に使うようにします。

最後に「輸入牛肉」です。アメリカ産、カナダ産は、穀物飼育牛肉と牧草肥育牛肉の2つに分けられます。脂肪の色が白いのが特徴です。オーストラリア産、ニュージーランド産は牧草肥育で、脂肪の色が黄色なのが特徴です。

抗菌性物質や女性ホルモンなどの不安は不明の部分が多いようです。

なお、BSE(牛海綿状脳症= 狂牛病) に関しては、オーストラリア産、ニュージーランド産は不安はありません。ただ、輸入牛肉も、除毒過程(調味液につける、アクをとるなど) のある料理に使うようにします。

また、農水省が定めた食肉小売品質基準表示によれば、種類、部位、用途を表示することになっています。たとえば、「種類(午)、部位(サーロインなど)、用途(ステーキ用など)」というようにです。

もちろん、以下のような抜け道は存在しますから注意してください。

  1. 外国で生まれ育ち、生きたまま日本へ輸入された場合、日本で三カ月以上飼育されたのちに処理された牛の肉は、「国産」という表示をしてもいいことになっています。
  2. 焼き肉用セット」は生鮮食品に分類され、「焼き肉セット」は加工食品に分類されます。異なる部位の切り身を1つのパックにした「焼き肉用セット」は生鮮食品で原産地表示の義務があります。一方、肉を調味液につけたり、塩、コショウがしてある「焼き肉セット」は加工食品なので、原産地表示の義務はありません。
  3. 表面だけをサッと加熱してあるたたきやローストビーフは加工食品です。
  4. 牛だけのひき肉は生鮮食品で原産地表示が必要ですが、午、豚の合いびきは加工食品となり、原産地表示は必要なくなります。

安心のための毒消しテクニック

  1. 脂身を切りとって使うこと。ダイオキシンなどの不安物質は、脂身に残っている場合が多いからです。
  2. 湯どおしをすること。牛肉の薄切り、細切り、角切りは、お湯で三分ほどゆでてから食材として使います。これで、まだ残っている農薬やダイオキシン、抗菌性物質を減らすことができます。肉じゃがなどをつくるときも、まずは、ゆでこぼしをしてから。
  3. アクとり。シチューなどは、肉をコトコト煮ながら、浮いてくるアクをていねいにすくうこと。アクには、牛肉から溶けだした不安物質がいっぱい入っています。アクとりは、その不安を解消する除毒のテクニックでもあるのです。
  4. タレを捨て、二度づけすること。調味液やタレ、みそなどに肉をつけて下味をつけるとき、まず10〇分ほどつけて、いったん調味液やタレ、みそを捨てます。そこに不安物質が溶けだしているからです。肉についているみそなどもていねいにとり除いてから、新しい調味液、タレ、みそにつけ直しましょう。
  5. しゃぶしゃぶ。これほどよい除毒の方法はありません。ただし、溶けだした不安物質は、お湯のほうにたまる一方。自宅で調理するときは、途中でお湯をとりかえるぐらいの気配りを。

BSEの問題

もうひとつ、忘れてはいけないのがBSEです。体の中にあるプリオンというタンパク質が、何らかの理由で異常な形に変化したときに発生すると考えられています。BSEの潜伏期間は、牛で2~8年といわれています。

牛がBSEにかかる主な原因は、飼料中の肉骨粉と考えられています。1996年、イギリスは、BSEに感染した牛の肉を食べると、人間にも感染する可能性があることを公式に認めています。
人間が感染すると、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病という死亡率の高い病気になります。しかし、BSEが人にも感染するらしいことは確かですが、たとえ羅漢牛でも、通常食べている牛肉や乳製品には問題は少なく、人への感染リスクも少ないこと、また、2001以降、日本ではBSE検査が全頭に実施されていますから、あまり神経質になる必要はない、ともいわれています。

もちろん、どんな牛肉が安全なのかに関する知識を持っているに越したことはありません。以下では、安全な牛肉の簡単な見分け方を紹介します。そのためには、「和牛」「国産牛」「輸入牛」の区別や、肉の各部位の危険度の違いに注意することが重要でしょう。

和牛の場合

肉専用の和牛は、ひと応安心と考えていいでしょう。飼料に肉骨粉はまず使われていませんし、精肉に感染物質も入っていません。「和牛肉」は(偽装がなければ) 表示で選んで買うことができます。

国産牛の場合

国産牛には、大きく分けて3種類あります。

  1. 和牛以外の肉専用牛の場合
    これも、飼料に肉骨粉はまず使われていないので、精肉は一応安心と考えてよいでしょう。
  2. 乳牛(オス)の場合
    去勢牛です。飼料に肉骨粉はまず使われていないので、その精肉は安心と思われます。しかし、BSEの不安が残る乳牛(メス) から生まれている以上、感染の不安がないとはいえません。
  3. 乳牛(メス)の場合(廃用牛)
    搾乳しなくなった乳牛(廃用牛)は、飼料に肉骨粉(乳量を増すために与えられていた) が使われていた可能性もあり、飼育期間(月輪五年以上)が長いものが多いので、その精肉は一応不安と考えます。

輸入牛の場合

輸入牛肉は、オーストラリア産はまず安心です。なお、BSE問題で、輸入停止になっていたアメリカ産牛は、、生後20カ月以下の牛であること、特定危険部位を除去することを条件に輸入が再開されたのですが、わずか1ヶ月半後に危険部位の混入が確認され、輸入は再停止となっています。

部位で危険なのは内臓です。危険とされている回腸遠位部が小腸の一部なので、ホルモンとして出回っている可能性があります。しばらく内臓系のものは避けたほうがいいでしょう。

「ひき肉」は、内臓を混ぜないので一応は安心ですが、Tボーンステーキなどの「骨付き肉」になると若干危険になります。牛乳などの乳製品は、まず安全です。BSE以来、焼き肉店を敬遠している人たちが多いようですが、焼き肉は、多くの人に好まれる人気メニューですし、肉は栄養にとっても大切な食べものです。

心得ていると安心なこと

BSEの不安がほとんどないのは、カルビ、ロース、ミノ、センマイ、ハラミ、タン、テール、レバー、ハツなどの部位です。一方、骨付きカルビ、ヒモ、シマチョウなどのホルモン系は少し注文を控えたほうがいいでしょう。

カルビクッパ、カルピスープに関しては、どの程度注意したらよいかは微妙なところです。というのは、食材を処理する投階で脊髄などの部位が混じる可能性があるからです。また、加工食品のうちに、不安な原材料が使われていることもあります。

不安度が高いのは、牛エキス、牛ブイヨン、牛脂( ヘット)、ゼラチン、コラーゲンなどです。つくるときに、脊髄などの部分も一緒に混じってしまう可能性があるからです。

完全に安全であるとはいえないのは、動植物性油脂(牛脂が使われている可能性がある)、タンパク加水分解物(不安な部分の混ざった牛肉などが使われている可能性がある)、乳化剤(牛脂などが使われている可能性がある) などです。ほかに、不安な原材料がよく使われる加工食品には、次のようなものがあります。

即席中華めん( スープなど)、スナックめん、カレー(ルウを含む)、スープ( コンソメ、ポタージュなど)、シチュールウ、ソース(デミグラスソースなど)、ハム、ソーセージ、冷凍食品、米菓、スナック菓子( コーンなど)、ヨーグルト、ラクトアイス、ゼリー( ゼリーの素など)。

ただし、現在では、不安のある原材料を使用していない加工食品がいろいろ市販されていますから、それらを選ぶようにすればいいでしょう。

貝は、食べるなら国産のもののほうが安心

砂抜きで、汚染物質をとり除く

現在は、スーパーでも輸入ものが1年中出回っていますが、国内産の貝のほうがいくらか不安は少ないでしょぅ。なかでも旬のものを選べば安心。

アサリの旬は晩秋から春先。シジミは1年中ですが、寒シジミが一番よいでしょう。ハマグリは10~3月。カキの旬は11~2月。下ごしらえをしっかりすれば、さらに安心度は高まります。

まず、砂抜き。アサリやハマグリは海に住む貝なので、海水程度の塩水に一晩つけます。塩分3パーセント。なめてみるとしょつぱく感じるぐらいの塩辛さです。

シジミは淡水、あるいは淡水と海水が混じり合ったところに住んでいますからこちは真水に一晩つけます。どちらの貝も、静かで薄暗い所に貝をおいてリラックスさせると、呼吸しながら砂を吐きます。そのとき、貝の中にたまった汚染物質もー緒に吐きだされるのです。

貝は意外に汚れているので、よく洗いましょう。砂抜きが終わったら、水道の水を流しながら、貝をいくつか手にとって、こすり合わせて洗います。むき身の場合は、ザルに入れて塩少々をふり、ボウルの中でふり洗い。これで汚染物質を減らせます。

アオヤギなどを刺身にするときは、ザルに入れて鍋の中の熱湯にとおし、すぐに冷水につけて冷まします。よく水気を切ること。汚染物質がお湯の中に溶けだして安心です。

カキは内湾養殖のため、さまざまな汚染物質がたまっていることが多いのですが、昔ながらのだいこんおろしで洗うやり方で、この不安をとり除くことができます。

たっぷりのだいこんおろしの中にカキを入れてかき混ぜ、ザルに上げます。ボウルの中に水を流し入れながら、ザルを2~3回ふり洗い。こうして、汚れただいこんおろしを流してしまえば安心です。

この方法は、むき身のアサリやシジミにも応用できます。だいこんおろしは、汚染物質を引きだす力がとても強いのです。古くから伝わる料理の知恵には脱帽です。貝料理の中でも、もっとも安心なのは酢の物。下ごしらえは、割酢(酢を水で倍に薄めたもの) で酢洗い。そのあと、本格的に酢のものをつくります。食べるときに、酢は飲まないこと。酢の中に汚染物質が溶けだしているかもしれません。

近海魚のイカは、安全な下ごしらえが必須

奥の手、イカの松かさ切り

イカも近海でとれます。有機水銀や有機塩素系農薬、有機スズ化合物、ダイオキシンなど、不安は尽きません。安全な下ごしらえが必要になります。

ワタは汚染物質が集中しているところ。まず、足を抜いてワタをとります。とったツタは捨てること。つぎに、胴の皮をむき、開いて、内側を包丁の背でしごいてきれいにする。あとは、よく洗いましょう。あえものにするときなどは、イカを松かさ切りにして熱湯の中に入れ、開いたらとりだします。

これも、かしこい方法。細かい切れ目から残っていた汚染物質が溶けだして安心です。なお、イカの塩辛は酒の肴として喜ばれる一品ですが、ワタをからめてつくるので不安が残ります。
安全を考えると、あまりおすすめはできません。イカの旬は秋。焼きもの、煮もの、刺身に天ぶらなど、おいしくいただくためには、下ごしらえはきっちりと。

背ワタの汚染物質は必ずとる「エビ」

有機水銀などの汚染物質は、背ワタをとれば大丈夫

近海でとれる甲殻類のエビ。昔ながらのクルマエビやタイショウエビに加えて、最近では東南アジア産のブラックタイガーなど輸入ものもたくさん出回るようになってきました。

心配なのは、有機水銀などの汚染物質。また、クルマエビなどは養殖も盛んに行なわれ、抗菌性物質や有機スズ化合物の不安も拭いきれません。これらの汚染物質は、ほとんど背ワタに残っています。

天ぶら、フライ、コキール、チリソースなど、和・洋・中華、すべてのジャンルの料理によく使われているエビですが、どの料理でも、背ワタをきちんととり除いて使うことが、安全のポイントです。

  1. まず頭をとる。
  2. 背をまげて、関節の間に竹串を刺し、背ワタを抜きとる。
  3. 皮をむく。

これで、下ごしらえはOKです。