「土用の丑の日」に騙されない

今、私たちが天然のウナギを食べようと思ったら、相当の苦労が必要だと思ってください。近隣のウナギ屋に行っても、天然のウナギはまず食べられません。天然のウナギを扱う店はたいがい不便な田舎にありますので、そういうところへ出掛けていくしかありません。

天然うなぎ

天然うなぎ

値も相当張ります。消費者に知って欲しいのは、土用の丑の日などというのは根拠もなく大成功したマーケティングの1つだということです。そんな物に乗せられてウナギに群がるのはもうやめましょう。

とにかく消費者にはもっと賢くなってもらいたいのです。ある特定の日だけ急にたくさんウナギが捕まるわけがないのですから、ウナギを食べる日を設けるなどナンセンスです。

今では、年中食べられるウナギですが、天然ウナギはほとんどありません。流通している物のほぼすべてが養殖です。

それも、国内での養殖物は全体の20%程度です。残り80%を占める海外産の多くは中国産や台湾産です。でも、表示は「国内産」となっているケースもあります。

輸入されてから何日聞か国内で飼育してさばくと「国内産」と表示していいとか、いろいろ抜け道的な決め事があるのです。国内産が食べたいと思っていても、表示を盲目的に信じると、本当はそうではない物をつかまされてしまうこともあります。

本当に信頼できる店を探して食べることを勧めます。以前、中国産の養殖ウナギから、食品に含まれてはならない合成抗菌剤エンロフロキサシンが検出されたことがありました。その後、中国産のウナギに対する信頼がいったん落ちて、一時、中国産が品薄になる状況が起こりました。

悪い人がいるもので、中国産を国産と偽装して出していたのが見つかったこともありました。ですが、こういうことは本当に氷山の一角なのです。一匹一匹全部検査することなどできないのですから、表に出ないだけでいくらでも不正は行なわれていると考えたほうがいいでしょう。

もし土用の丑の日などと言って、消費者がウナギに群がって買うようなことがなければ、業者が偽装することもできません。偽装品をたくさん用意したところで売れないと分かっていたら、リスクをを犯してまでそんなことをする必要がなくなってしまいますから。

年に何回かはおいしいウナギを食べたいと思うこともあるでしょう。そういうときは食べればいいのですが、何も、土用の丑の日に皆で一斉に食べなくてもいいはずです。人の好みなんてそんなに一極集中するはずもありません。

今年は土用の丑の日が2回もある、などと煽られて走り回るなんて愚の骨頂。そんな物に振り回されず、冷静に行動するよう訴えたいのです。

良質のウナギをきちんとコンスタントに仕入れて、消費者にいい状態で食べてもらいたいと努力する誠実な業者もたくさんあります。そういう業者を大事にできるような消費行動を賢く守りたいものです。

そういうわけで、中国産のウナギは一時不人気だったのですけれども、最近はまた輸入が増えてきています。消費者に知ってもらいたいのは、中国の生産ラインの環境は日本とはまったく違うということです。

めでたいことに、中国は大変な発展を遂げていて、工業化がどんどん進んでいます。工業化が進むということは、工場での生産が増えているということですから、当然廃液が大量に出ます。その廃液が今の日本のようにきちんと処理がされているなら、まだよしとしましょう。

実際は、北京や上海の大気汚染を見ても分かるように、規制が緩いのです。工場からの排水の規制も、あってなきが如し。流し放題です。そういう廃液が流れ込む先と、ウナギをはじめとする養殖の池が一緒だったりするのです。

巨大な他に廃液が流れ込んでいるのに、その同じ池で養殖することなど、当たり前のように行なわれています。全部が全部そうとは言いませんけれども、中国のかなりの地域で汚染がひどく進んでしまっているというのは周知の事実です。

これはもう、いちいち私たち消費者が現地を見て点検することなどできません。本来は輸入する側の日本の商社や、輸出する側の中国の商社が責任を持って安全性を確認しなくてはならないはずですけれど、商売としてはとにかくお金を儲けたいわけですからそんなことはお構いなしです。

ネガティブな情報をわざわざ出して、「こんな状況なのですけれども買ってください」などと言うわけがないのです。

工場にしても食品を生産するようなレベルになっていないのかもしれません。私たち消費者は、そういうことまできちんと考えた上で自分の食べる物を選択しなくてはなりません。

ウナギに限ったことではありませんが、日本でものすごく人気が出る、そしてある時期集中的に売れてしまう、というのは、業者側からすれば収益もきちんと乗せられる大ビジネスチャンスです。

その象徴としてウナギがあるのです。ウナギをきっかけとして、普段から自分たちが食べている物にきちんとした目を向ける習慣を付けて欲しいと思います。少なくとも、土用の丑の日フィーバーは、バカバカしいと気づいた人からやめましょう。

うなぎ

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