目に見えないものとなるとどうしても難しいように思いますが、慣れてくるとその方法やコツがわかってきます。
発見のきっかけはレモンティー
ある日、レモンティーを飲もうとしてカップに視線を落とすと、紅茶に輪切りのレモンが浮かべられていました。それを見て、ふと「レモンから紅茶に農薬が溶け出すということばあるのか? 」と気になりました。
思い切って自宅に研究室を作り、自分で実際に実験をしてみたのです。最初は、むしろ農薬が溶け出さないということを証明しようとしていました。しかし、実験してみたところ、TBZという農薬がレモンの輪切りから1分で70%ほど紅茶に溶け出ていることがわかったのです。そこでお湯の農薬を落とす力に気がつき、さまざまな食材で実験をするようになったのです。
レモンはどれだけ除毒できるか?
- たわしを使ってレモンを流水で1分間洗浄TBZ 31% 除去/OPZ 7% 除去/DP 16% 除去
- 紅茶100mlスライスレモンの10gの割合でおくTBZ 74% 除去/OP 87% 除去/DP 3% 除去
「クチクラ層」が下ごしらえのポイント
いま現在、日本で使用されている農薬は、野菜や果物のクチクラ層まで染みこみ、それよりも内部に染みこむことがほとんどないといわれています。
クチクラ層とは、野菜や果物などの表皮の下にある、1mmにも満たない薄い層です。水分の蒸発や、紫外線の害を防ぐといった役割があります。
つまり、クチクラ層に染みこんだ残留農薬などの不安物質を取り除くことが、下ごしらえでは重要になってきます。また、農薬には根から吸収され、内部に移行する浸透性殺虫剤もあります。しかしこのような農薬も、多くは水に溶ける性質があります。
できればクチクラ層を除くために厚く皮をむきたいところですが、葉物野菜やピーマンのように皮をむかずにそのまま食べる野菜もあります。その場合、重要なのが切ってからゆでるということ。そのままゆでても不安物質はある程度溶出しますが、切ってクチクラ層を露出させることで、不安物質がより溶出しやすくなるのです。
クチクラ層とは?
- 野菜、果物の表皮の下にある1mmにも満たない薄い層
- 残留農薬がしみこみやすい
- 染みこんだ残留農薬は水に溶けやすい
- 表皮を厚めにむくことが最大の防御策
- 皮をむかずに食べるものは切ってからゆでることが大切き