接着剤は、工作やDIY、家具の補修など、日常生活のさまざまな場面で使われています。
一方で、接着剤には種類によって有機溶剤や硬化剤などが含まれているものがあり、使用方法を誤ると、目や皮膚への刺激、気分不良などにつながることがあります。
また、接着剤に含まれる成分によっては、皮膚に繰り返し触れることで接触性皮膚炎などの原因となる場合もあります。
接着剤を使用するときは、「接着剤だからどれも同じ」と考えるのではなく、製品ごとの成分や用途、使用上の注意を確認することが大切です。
接着剤にはどのような成分が含まれている?
接着剤にはさまざまな種類があり、使用されている成分も製品によって異なります。
水を媒体として使用する水性接着剤もあれば、有機溶剤を使用して成分を溶かしているタイプ、2種類の液体を混ぜて化学反応によって硬化させるタイプなどがあります。
そのため、「接着剤には必ず有機溶剤が含まれている」とは限りません。使用前には、商品の表示や取扱説明書などで成分や使用上の注意を確認することが重要です。
有機溶剤とは?
有機溶剤とは、ほかの物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称です。
塗装、洗浄、印刷など、さまざまな作業で利用されており、接着剤の成分を溶かしたり、均一に塗布しやすくしたりする目的で使用されることもあります。
有機溶剤には揮発しやすいものがあり、使用中に蒸気が発生する場合があります。そのため、製品によっては使用場所の換気を十分に行うことが注意事項として記載されています。
特に屋内で接着剤を使用するときは、製品の表示を確認し、必要に応じて窓を開けるなど、十分な換気を行うことが大切です。
接着剤を使用するときに注意したいこと
接着剤を使用する際に特に確認したいのが、皮膚への付着や蒸気の吸入です。
製品によっては、皮膚に付着すると刺激を感じたり、繰り返し接触することで接触性皮膚炎などにつながったりするものがあります。
また、有機溶剤などを含む接着剤では、使用中に発生する蒸気を吸い込まないようにすることも重要です。
接着剤を頻繁に使用する場合や長時間の作業を行う場合は、製品に記載された注意事項を確認し、換気のよい場所で作業するなど、適切な取り扱いを心がけましょう。
接着剤は用途に合った種類を選ぶ
文具店やDIY用品店などでは、さまざまな接着剤が販売されています。
しかし、接着する素材によって適した接着剤は異なります。木材、紙、布、金属、陶磁器、プラスチックなど、素材に合った製品を選ぶことが重要です。
例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ナイロンなどは、一般的な接着剤では接着しにくい素材があります。
接着剤を選ぶ際には、パッケージに記載された「用途」や「接着できる素材」を確認し、目的に合った製品を使用しましょう。
また、接着剤にはそれぞれ使用方法や乾燥・硬化時間、換気などに関する注意事項があります。使用前に商品の説明を確認することが大切です。
接着剤によるアレルギーや皮膚への影響に注意
接着剤に含まれる成分の中には、人によって皮膚への刺激やアレルギー反応の原因となるものがあります。
特に接着剤を直接手で触れる作業を繰り返している場合は、皮膚への接触をできるだけ避けることが大切です。
作業中に皮膚へ付着した場合は、製品の表示に従って適切に対処してください。目に入った場合なども、製品に記載された応急処置を確認し、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
また、以前は問題なく使用できていた接着剤でも、使用を繰り返すうちに皮膚に反応が出ることがあります。
皮膚に赤み、かゆみ、腫れなどの変化が続く場合は、接着剤の使用を中止し、医療機関に相談することをおすすめします。
接着剤の主な種類と特徴
合成接着剤にはさまざまな種類があります。代表的なものとして、水性の酢酸ビニルエマルション系、ゴム系、エポキシ系、瞬間接着剤などがあります。
それぞれ接着する仕組みや使用される成分が異なるため、特徴を理解して使い分けることが大切です。
水性接着剤(酢酸ビニルエマルション系)
水性の酢酸ビニルエマルション系接着剤は、工作や木工などで使用される身近な接着剤です。
水を媒体としており、水分が蒸発することで接着剤が固まり、接着する仕組みになっています。
木材、紙、布などに使用される製品があり、家庭での工作やDIYでも利用されています。
水性タイプであっても、すべての製品が同じ成分でできているわけではありません。使用前にはパッケージの表示や注意事項を確認しましょう。
ゴム系接着剤
ゴム系接着剤は、合成ゴムなどを利用した接着剤で、さまざまな素材の接着に利用されています。
製品によってはヘキサンやシクロヘキサンなどの有機溶剤を使用しているものがあります。
有機溶剤を含むタイプでは、使用中に蒸気が発生することがあるため、換気に注意する必要があります。
また、成分によっては皮膚への刺激や接触性皮膚炎などの原因となる場合があります。直接皮膚に触れないようにし、使用後は手を洗うなど、製品の注意事項に従って取り扱いましょう。
エポキシ系接着剤
エポキシ系接着剤は、2種類の成分を混ぜ合わせて硬化させるタイプが代表的です。
主剤と硬化剤を混ぜることで化学反応が進み、硬化して強固に接着します。金属やガラス、陶磁器など、さまざまな素材に使用される製品があります。
エポキシ系接着剤では、製品に含まれる樹脂や硬化剤などが皮膚への刺激や接触性皮膚炎の原因となる場合があります。
使用するときは皮膚に直接付着させないこと、十分に換気すること、製品に記載された使用方法を守ることが重要です。
瞬間接着剤(シアノアクリレート系)
いわゆる瞬間接着剤には、シアノアクリレート系の接着剤があります。
微量の水分によって重合反応が進み、短時間で硬化するのが特徴です。家庭用の製品としても広く利用されています。
瞬間接着剤は短時間で固まるため便利ですが、皮膚や目に付着すると接着してしまうことがあります。特に指同士や皮膚と物を無理に引き離そうとすると、皮膚を傷めるおそれがあります。
また、使用中に発生する蒸気によって目や鼻などに刺激を感じる場合もあります。使用時は換気を行い、目や皮膚に付着しないよう十分注意しましょう。
接着剤の種類によって異なる使用上の注意
接着剤には、水性タイプ、ゴム系、エポキシ系、瞬間接着剤など、さまざまな種類があります。それぞれ使用されている成分や接着する仕組みが異なるため、注意点も一律ではありません。
特に有機溶剤を使用している製品では、使用中に蒸気が発生することがあります。接着剤を使用するときは、パッケージや取扱説明書を確認し、換気や保護具などについて記載された注意事項を守ることが大切です。
ホットメルト系接着剤
ホットメルト系接着剤は、加熱すると柔らかくなり、冷えることで固まる性質を利用した接着剤です。
エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリアミドなどを使用した製品があり、紙、布、木材などの接着や、製造現場などさまざまな用途で利用されています。
ホットメルト系接着剤は、接着剤そのものに加えて、使用時の「熱」にも注意が必要です。高温になった接着剤に触れるとやけどにつながる可能性があるため、グルーガンなどを使用するときは、先端や溶融した接着剤に直接触れないようにしましょう。
また、製品によって使用方法や適した素材が異なるため、購入時や使用前に表示を確認することが大切です。
合板などに使用される接着剤
木質材料の製造には、用途に応じてさまざまな接着剤が使用されています。
合板などの製造に使用される接着剤には、フェノール樹脂系やメラミン樹脂系などがあります。住宅や家具などに使用される木質材料では、接着剤に由来する化学物質についても関心が持たれています。
特に住宅などの室内環境では、建材や家具などから放散される化学物質が室内空気に影響する場合があります。そのため、新築やリフォームなどの際には、建材の表示や室内の換気について確認することが重要です。
ホルムアルデヒドと接着剤
ホルムアルデヒドは、合成樹脂などの製造に利用される化学物質の一つです。建材などから室内に放散されることがあり、室内空気中の濃度が高くなると、目や鼻、のどなどに刺激を感じる人もいます。
住宅の建材については、ホルムアルデヒドの放散量を抑えるための規制や表示制度があります。
新築住宅やリフォーム後の室内環境が気になる場合は、建材の種類を確認するとともに、適切な換気を行うことが大切です。
新築住宅のシックハウス症候群についても、住宅内の化学物質と室内環境を考えるうえで参考になります。
合成接着剤の種類・用途
| 種類 | 用途 | 注意点 |
| 水性(酢酸ビニルエマルション系) | 木材、紙、布など | 製品によって成分が異なるため、使用前に表示や注意事項を確認する。 |
| エポキシ系(エポキシ樹脂系) | 金属、ガラス、陶磁器など | 樹脂や硬化剤などが皮膚への刺激や接触性皮膚炎の原因となる場合がある。 |
| ゴム系(合成ゴム系、ニトリルゴム系) | 塩化ビニル樹脂製品、木材、金属など | 製品によって有機溶剤などを含むものがあるため、換気や皮膚への付着に注意する。 |
| その他 | ホットメルト系(エチレン・酢酸ビニル重合体系、ポリアミド系)、瞬間接着剤(シアノアクリレート系)など。種類によって使用方法や注意点が異なる。 | |
接着剤を使うときは換気と皮膚への付着に注意
接着剤を使用するときは、製品の種類に応じて適切な環境を整えることが大切です。
特に有機溶剤を含む接着剤を使用する場合は、換気のよい場所を選び、蒸気をできるだけ吸い込まないようにします。長時間の作業では、途中で休憩を入れることも大切です。
また、接着剤が皮膚に付着しないように注意し、必要に応じて製品の表示に適した手袋などの保護具を使用します。
作業中に目や皮膚に違和感が生じた場合は、いったん作業を中止し、製品に記載された応急処置を確認してください。症状が続く場合は、医療機関への相談をおすすめします。
接着剤を頻繁に使う場合に確認したいこと
DIYや工作などで接着剤を頻繁に使用する場合は、単に「接着できるか」だけでなく、安全に使える環境かどうかも確認しましょう。
- 使用する場所の換気が十分か
- 有機溶剤を含む製品かどうか
- 皮膚に付着しないようにできているか
- 目に入らないよう注意しているか
- 使用できる素材を確認しているか
- 使用後の保管方法を確認しているか
- 子どもの手の届かない場所に保管しているか
接着剤は便利な一方で、種類によって性質が大きく異なります。使用前にパッケージや取扱説明書を確認するだけでも、取り扱い上の注意点を把握しやすくなります。
接着剤はDIYや工作に欠かせないアイテムですが、製品の成分や種類によっては法律上の「危険物」に該当するものも少なくありません。有機溶剤や可燃性の成分が含まれている場合、火気や換気に十分な注意が必要です。安全に作業を行うための知識を詳しく解説します。
接着剤は危険物に該当する?成分の種類や安全な使用時の注意点を解説
接着剤を使用するときのマスクについて
接着剤を使った作業では、粉じんが発生する作業と、接着剤の蒸気を扱う作業を分けて考える必要があります。
防じんマスクは、名前のとおり粉じんなどの粒子を対象とする保護具です。そのため、有機溶剤などの蒸気への対策を目的として使用する場合は、製品の用途や性能が適しているかを確認する必要があります。
接着剤の使用時に保護具を選ぶ場合は、接着剤の種類と作業内容を確認し、目的に合ったものを選びましょう。
TOYO 使い捨て式防じんマスク
商品の説明
メーカー名:(株)トーヨーセフティー
【 特長 】
・接顔面が顔に沿った3次元曲線により、フィット感抜群です。
【 用途 】
・一般粉塵作業に。
【 仕様 】
品名:トーヨーセフティ 使い捨て式防じんマスク 5枚入
品番:NO.1700
粒子捕集効率(%):80以上
使用限度時間:9
吸気抵抗(Pa):45以下
排気抵抗(Pa):45以下
国家検定 DS1 合格品
【 材質/仕上 】
PP樹脂
質量:9g
TOYO 使い捨て式防じんマスク No.1700
特長
特殊静電フィルターの使用により微細な粉塵も効率よく捕集する。
接顔面が顔のラインに沿った3次元曲線によりフィット感抜群。
オーバーヘッド式ひめしも。鼻部スポンジ付き。
衛生的な抗菌処理加工。
用途
解体・研磨・切削等の一般粉じん作業・農薬散布に。
PM2.5(微小粒子状物質)対応。
なお、防じんマスクは粉じんなどの粒子を対象とした製品であり、有機溶剤の蒸気への対策とは目的が異なります。接着剤の種類によって必要な保護具は異なるため、使用する製品の表示や作業内容を確認してください。
接着剤を安全に使うためのポイント
接着剤は、工作やDIY、家具の補修などに便利な製品ですが、種類によって含まれる成分や使用方法が異なります。
特に有機溶剤を含むタイプでは、使用中に蒸気が発生する場合があるため、換気のよい場所で使用することが大切です。また、エポキシ系などでは、樹脂や硬化剤が皮膚への刺激や接触性皮膚炎の原因となる場合があります。
接着剤を安全に使用するためには、次の点を確認しておきましょう。
- 使用前にパッケージや取扱説明書を確認する
- 接着する素材に適した製品を選ぶ
- 有機溶剤を含む製品は換気のよい場所で使用する
- 皮膚や目に付着しないよう注意する
- 必要に応じて製品に適した保護具を使用する
- 使用後は容器をしっかり閉めて保管する
- 子どもの手の届かない場所に保管する
接着剤が皮膚に付着した場合
接着剤が皮膚に付着した場合は、製品によって適切な対処方法が異なります。無理にこすったり、自己判断で薬品を使用したりせず、まず製品の表示や取扱説明書に記載された対処方法を確認しましょう。
特に瞬間接着剤などは、皮膚同士を接着してしまうことがあります。無理に引き離そうとすると皮膚を傷める可能性があるため注意が必要です。
目に入った場合や、皮膚の赤み、腫れ、かゆみなどが続く場合は、製品の表示を確認したうえで医療機関に相談してください。
接着剤の蒸気が気になるとき
有機溶剤などを含む接着剤では、使用中に独特のにおいを感じることがあります。
においが強い場所で長時間作業を続けるのではなく、換気を行い、必要に応じて作業を中断してください。
使用中に気分が悪くなったり、目や鼻、のどなどに刺激を感じたりした場合は、作業場所から離れて新鮮な空気のある場所へ移動することが大切です。
接着剤の種類によって必要な対策は異なるため、「マスクを着用すれば大丈夫」と考えるのではなく、まず製品の表示や安全上の注意を確認することが重要です。
接着剤は種類によって注意点が異なる
接着剤には、水性接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、瞬間接着剤、ホットメルト系接着剤など、さまざまな種類があります。
水性タイプのように水を媒体とするものがある一方で、有機溶剤を使用するタイプや、主剤と硬化剤を混ぜて使用するタイプもあります。
そのため、「接着剤は危険なもの」「接着剤ならすべて有機溶剤が入っている」と一括りにすることはできません。
大切なのは、使用する製品の成分や用途、使用上の注意を確認し、適切な環境で使用することです。
特に接着剤を頻繁に使用する人は、皮膚への付着を避け、換気を十分に行うなど、日頃から取り扱いに注意しましょう。
まとめ
接着剤にはさまざまな種類があり、製品によって有機溶剤、樹脂、硬化剤など使用されている成分が異なります。
有機溶剤を含む接着剤では、使用中に蒸気が発生することがあるため、換気のよい場所で使用することが大切です。また、成分によっては皮膚への刺激や接触性皮膚炎などの原因となる場合があるため、直接触れないように注意します。
接着剤を使用するときは、素材に適した製品を選ぶだけでなく、パッケージや取扱説明書に記載された使用方法や注意事項を確認することが重要です。
DIYや工作などで接着剤を使用する機会が多い場合も、正しい使い方と適切な換気を心がけることで、より安全に作業を行いやすくなります。
接着剤だけでなく、住宅や家具などに使われる建材にも、さまざまな化学物質が使用されています。新築やリフォーム、DIYなどで建材を扱う機会がある場合は、素材や成分、使用上の注意を確認しておくと安心です。化学物質と身近な製品との関係についてさらに知りたい方は、関連する建材の記事もあわせてご覧ください。
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