ジクロロジフェニルトリクロロエタン 危険性

2023/07/12環境ホルモンの種類

ジクロロジフェニルトリクロロエタン 危険性 について紹介します。ジクロロジフェニルトリクロロエタン (DDT) は19 世紀の後半にはすでに合成されていましたが、1938 年以降、殺虫剤として大量に使用されました。日本では戦後にしらみをとるために頭からかけられた人もいたようです。日本では1969年12月にDDTの製造が、1971年には使用も禁止されています。

ジクロロジフェニルトリクロロエタン 危険性

現在、日本や先進国で ジクロロジフェニルトリクロロエタン の製造や使用はしていません。しかし、アフリカやアジア、中南米などの国々では、ハマダラ蚊によって伝染するマラリアの疾患が問題です。そのハマダラ蚊防除にジクロロジフェニルトリクロロエタンが高い効果があり、また経済性の点からも替わるものがないため現在も制限を設けて使用しています。

それまで農薬として使用されてきたDDTは食物連鎖の過程を経て、どうしても人間の体内に入り込んでしまいました。これを裏付けるように地球上のあらゆるところでDDTが検出されるようになりました。

こうした化学物質は、北極や南極でも検出されています。北極の場合には、シロクマから、南極の場合にはペンギンの体内から見つかっています。DDTの汚染は地球上のあらゆる地域にまで広がっているのです。そしてこのDDTが環境ホルモンであることも判明しました。

DDTが肝臓に存在している酵素の構造を変化させる作用があることが発見されています。また、DDTの作用が、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンといった性ホルモンの構造や分泌を変化させることもわかってきました。そして性ホルモンの代謝を変化させることで、生殖に影響を与えているのです。

DDTの問題点は、自然界では簡単に分解されないことです。半減期がほぼ100年といわれるだけに長い間残ってしまうのです。この高い蓄積性が問題となっています。さらに脂肪と結合しやすい性質をもっているので、体内の脂肪組織にとけ込み、蓄積されてしまうのです。

以下引用

DDTの功罪とその歴史

DDTは、農薬として使用される以前には、シラミやノミなどの衛生害虫の駆除剤として使用されていました。第二次世界大戦前後の衛生状態が悪化した時代において、発疹チフス(シラミが媒介、致死率10~60%)やマラリア(ハマダラ蚊が媒介)の伝染病予防に果たしたDDTの役割は大きく、その功績によりDDTの発明者であるP.H.ミュラー博士(スイス)は、1948年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。日本においても終戦後に、DDTはシラミなどの衛生害虫防除に用いられ、推定として、200万人にも及ぶ人命が発疹チフスから救われたとの報告もあります。

DDTは、戦後、農薬としても稲の大害虫であったニカメイチュウや果樹・野菜の害虫の防除に広く使用されてきましたが、DDTの分解物(DDE、DDA)が、環境中で非常に分解されにくく、また食物連鎖を通じて生物濃縮されることがわかりました。そのため、わが国では、1968年(昭和43年)に農薬(製造販売)会社が自主的に生産を中止し、1971年(昭和46年)には販売が禁止されました。世界的にも、環境への懸念から先進国を中心に、2000年までには、40カ国以上でDDTの使用が禁止・制限されています。

しかし、その一方で、マラリアが猛威を振るう亜熱帯や熱帯地域の多くの国々では依然としてDDTを必要としています。世界保健機関(WHO)の推計によると、年間3~5億人が罹患し、150~270万人の死亡者があるといわれ、特に、5歳未満の小児が犠牲になっているとされています。マラリアの感染予防には、マラリア原虫を媒介するハマダラ蚊の防除対策が重要となります。しかし、いまだにDDTに取って代わるだけの防除効果が高く、人畜毒性が低く、かつ安価な薬剤がないのが実情です。スリランカを例に取ると、1964年にDDTの使用禁止措置を行いましたが、その後5年間でマラリア罹病数は激増する結果となってしまいました。

そのようなことから、WHOは、2006年9月にマラリアを制圧するために、DDTを屋内使用に限定して有効活用することを勧告しました。

国際的にDDTの製造、輸入・使用を制限している条約には2004年に50カ国以上が締結し発効された「残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約」がありますが、DDTに関しては、条項として、「WHOの勧告及び指針に基づいた疾病を媒介する動物の防除に限り、安全で効果的かつ入手可能な代替品がない場合はDDTの製造と使用を認める」としています。2007年の第3回締約国会議においては、一部の国で伝染病防止のためにDDTを引き続き使用する必要性があるとの結論が示されており、今後も必要性確認のための評価を行うことが議決されています。

環境ホルモンの種類

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