トリブチルスズ ( TBT ) 毒性

2022/01/10環境ホルモンの種類

トリブチルスズ ( TBT ) 毒性 についてです。海の汚染問題が環境問題の中でも取りあげられていますが、その主となる汚染物質の トリブチルスズ ( TBT )です 。養殖のはまちに発生した奇形などの原因とも言われ、劇物指定されてる 毒性 の強い化学物質です。

トリブチルスズ ( TBT )

トリブチルスズ ( TBT ) 毒性
トリブチルスズ ( TBT ) 毒性

世界で使われてきた トリブチルスズ

日本では、養殖に使用される漁網の防汚剤や養殖場を囲むいけす網に海藻や貝が付着しないための塗料として使用されてきました。

アメリカ、ヨーロッパでは、船底の底に塗られる防汚剤塗料に有機スズが使用されていました。

トリブチルスズ の影響 フランスのカキの養殖場で奇形が見つかる

世界ではじめて有機スズの汚染問題に注目されたのは、1980年にフランスのカキの養殖場で奇形のカキが発生したときです。このとき法律で有機スズの使用を禁止。1980年代後半になってからは地球レベルで TBT 汚染が明らかになりました。

1974年にワインで 有 名 なフランスのボ ルドー 近 郊のArcachon湾でカキの石灰化異常が発見されました。

その後1978~1980年にかけて異常なカキの発生がフランス全土のカキ養殖場に拡がってきました。これらのカキの異常現象と有機スズ化合物の因果関係が解明され,1982年フランスは 25 m以下のボートの有機スズ含有塗料の全面禁止,有機スズ含有量3% 以上の塗料の使用禁止等の内容を盛り込んだ規制法を制定し,これ以降,欧米各国で相次いで規制法が制定されていきました。

有機スズ化合物のうち、特にトリプチJレスズ化合物については,主として船底や漁網への甲殻類などの付着を防止するための防汚塗料として、 1960 年代にイギリスで使用され始め,従来使用されていた亜酸化銅などに比べて、耐周年数が長いなどの優れた性質を持っていることから,最近 10年程度で急速に普及してきました。

トリブチルスズ化合物

当初、 トリプチJレスズ化合物は毒性が低いと考えられていましたが、昭和 50 年代の初期からイギリス、フランスであいついでカキの生育不良、奇形との関係が注目され,両国では,船底塗料として一部使用の禁止など環境の汚染対策が行われています。

また、アメリカにおいても、規制法案が成立するなど対応がとられています。

人間への害

人間への害では、人間の体内に蓄積されると、成長障害が発生したり、白血球やリンパ球が減少する症状が発生し、害が証明されています。

この汚染での注目点は、各種巻貝の生殖器に異常をもたらしたことです。インポセックスといいメスの巻貝にオスの生殖器が発達してしまったのです。また、高い確率で排卵障害を起こし、産卵できないメスが現れました。そのことで個体数が減少しました。ごくごく微量でも発生する恐ろしさを秘めています。

船底防汚塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物(トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPhT))が ppt レベルのごく低濃度でも特異的に作用して腹足類にインポセックスを引き起こしています。

1990 年以降、邦産腹足類におけるインポセックスと有機スズ汚染に関する野外調査と室内実験を行ってきました。特にイボニシを用いた室内実験でインポセックスを引き起こす有機スズの化学種やインポセックス発症の閾値を推定し、またイボニシを対象とした全国規模の実態調査と定点観測を継続的に実施して有機スズ汚染とインポセックスの実状や有機スズ汚染がイボニシ個体群に及ぼす影響を明らかにしてきました。

魚の体内では1万倍にも凝縮されるため危険な化学物質となっています。

有機金属化合物の一種である有機スズ化合物は,塩化ピニJレ樹脂の安定化剤などとして広く利用されていますが、なかでもトリプチルスズ化合物は生物に対する活性があるため,船底用の防汚塗料や,漁網防汚剤として使用されている.近年、トリプチノレスズ化合物による環境汚染が国際的に注目され,環境庁では魚介類などの調査を行っています。

その結果,現在の汚染レベルがただちに危険な状態にあるとは考えられないのですが,今後とも環境汚染の状況を監視していくことが必要であると評価されている.環境汚染対策として,法律的な規制の一部導入や養殖用の漁網防汚剤の自主的な使用禁止が行われています。

さらに,現在,毒性や汚染実態などの調査が実施されており,今後,その結果により必要な対策がなされることとなっています。

日本沿岸の海水や水生生物中の有機スズ化合物濃度

日本沿岸の海水や水生生物中の有機スズ化合物濃度は1991年の規制以来,徐々に減少しています。しかし,これより半減期がはるかに長い海底土中の有機スズ化合物濃度は依然として横ばい状態にあります。これらの海底土に堆積した有機スズ化合物は底生生物により蓄積され,更に底層魚などのより高次な捕食者に蓄積されることも考えられます。更に,今までは浅海域の生物に限られていた有機スズ化合物の分布が,最近ではハダカイワシ類などの底層に生息する魚類からも検出されるようになってきました。

また,巻貝類にみられるインポセックスの発症状況は,規制の前後であまり変化していないという報告もみられます。更に,有機スズ化合物が体内に入った後の毒性メカニズムの研究は,今後の研究テーマとして欠くことのできないものと考えられます。

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