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燃やすと危険なプラスチック(合成樹脂)

“初”合成樹脂はベークライト(フェノール樹脂)

パイプや装飾品に使われるコハク(琥珀)は鉱物ではなく、太古の樹木の樹脂が地中で化石となってものです。樹脂は、植物から分泌される有機化合物で、一般に精油(植物性揮発油)に溶けていて流動性を示しますが、空気中で精油成分が揮発すると粘度を増して硬くなります。
たとえば、末の樹脂である松ヤニの精油成分はテレビン油で、それを蒸発させたり残りがロジンです。ちなみに野菜のピッチャーが滑り止めに使うロジンバックとはこのロジンの粉を入れた袋のことです。

初の合成樹脂は1907年に発明されたベークライト(フェノール樹脂)です。電気絶縁性などの性質が天然樹脂に似ていたため合成樹脂と呼ばれましたが、今日ではプラスチックとよばれることが多くなっています。これは加熱や加圧によって容易に変形する性質に由来しています。

フェノールはホルムアルデヒドと尿素を重合したプラスチックです。ホルムアルデヒドには、発ガン性があり微量でも化学物質過敏症を起こします。一部に食品の容器として使われていますが、食品の熱によってホルムアルデヒドの溶出が考えられるので、好ましいことではありません。

燃焼時に発生するガスは有害なものが多い

合成樹脂は原料となる単位化合物(モノマー)が数千~数万もつながった重合体(ポリマー)です。モノマーとなる化合物がエチレンの場合はポリエチレン、スチレンの場合はポリスチレンと呼ばれます。

合成樹脂は、熱可塑性と熱硬化性樹脂に大別されます。熱可塑性樹脂は、いったん硬くなっても加熱すると再び柔らかくなる物質をもちますが、熱硬化性樹脂は、いったん硬くなると加熱しても元の柔らかい状態には戻りません。

熱可塑性樹脂にはプラスチックと相性がよい比較的低分子の脂肪酸エステル、リン酸エステルなどが可塑剤(成形しやすくしたり、柔軟性を与えるために添加される物質)として加えられます。生産性の多い塩化ビニル樹脂においても、もっともよく使われるODP(フタル酸ジオクチル)で柔軟性が求められる塩化ビニルの壁紙などの可塑剤として添加されます。ところが、このDOPは、動物実験において催奇形性、発ガン性があることが確認されています。

熱可塑性樹脂の種類と主な用途

ポリエチレン 袋、包装材、バケツ、洗面器、灯油容器 あまり心配ない
ポリ塩化ビニル ラップフィルム、シート、パイプ、容器、タイルなど 塩素を含み燃焼すると猛毒のダイオキシンを発生する危険性あり
ポリプロピレン 食器、自動車部品など 添加物のBHT(酸化防止剤)には発ガン性あり
ポリスチレン 発泡スチロール、断熱材など 弱いながらスチレンモノマーに毒性あり
ABS樹脂 ヘルメット、自動車部品など 不明
アクリル樹脂 CD、電気製品、自動車部品、塗料など 燃焼ガスはきわめて有毒
ポリカーボネート ドライヤーなどの電気製品、耐熱食器 燃焼ガスや有毒
ポリアミド 機械部品、電気製品など ほとんど心配ないが、接触性皮膚炎を起こすことがある

熱硬化性樹脂の種類と主な用途

フェノール樹脂 ナベ、ヤカンの把手、プリント配線基板など 熱でホルムアルデヒドが溶出することがある
アクリル樹脂
(熱硬化型)
建材、ガラスの代用、接着剤など あまり心配ないが、燃焼ガスに刺激性あり
ポリエステル 浴槽、ボート、塗料など あまり心配ないが、燃焼ガスに刺激性あり
ポリウレタン樹脂 靴底、スポンジ、クッションなど 燃焼すると猛毒の青酸(シアン)ガスが発生
メラミン樹脂 化粧版、接着剤、塗料など 溶出するホルムアルデヒドに発ガン性あり
エポキシ樹脂 電気製品、接着剤など ほとんど心配ないが、接触性皮膚炎を起こすことがある

アレルギーの原因になる接着剤の有機溶剤

遊離するモノマーや有機溶剤がアレルギーの原因に

接着剤の使用用途はかなり広く用いられていますが、たくさんある接着剤の中でも、主成分が合成高分子物質であるものは、ニカワなどの天然接着剤に対して、合成接着剤あるいは単に接着剤と呼ばれます。文具店、DLY店では、さまざまな合成接着剤が市販されていますが、接着剤に接着しようとすると素材との相性があるため、素材に適した接着剤を選ぶことが大切です。

ポリエチレンやポリプロピレン、ナイロンなどは、接着剤との間の結合力が小さいために接着が困難になります。ただし、ほとんどの接着剤は、接触性皮膚炎を起こしたり、遊離するモノマーや有機溶剤の吸入によってアレルギー症状が出ることが確認されており、安易な使用は控えなくてはなりません。
長時間にわたる作業の場合には、換気に気を配り、風通しのよい場所を選ぶことも大切です。

工作などに広く使われるポリ酢酸ビニルのエマルション接着剤(木工ボンドは品名)は、水を媒体として水の蒸発後に固化、接着します。

ゴム系接着剤は合成ゴムをヘキサン、シクロヘキサンなどの有機溶剤に溶かしたモノですが、これらの有機溶媒や合成ゴムに含まれる不純物はアレルギーの原因となります。

エポキシ接着剤は、反応硬化型と呼ばれるモノで、二液を混ぜ合わせることで重合反応が進行して固化、接着しますが、エチレンジアミンなどの硬化剤はやはり同様にアレルギーの原因となります。

接着剤消費量の過半はホルムアルデヒドを含む合板用の接着剤

また、いわゆる瞬間接着剤(シアノアクリート系)は、微量の水の存在で短時間で重合反応が進むのが特徴で、外科手術のとき傷口をふさぐためにも利用されます。家庭には、小容量のものしか使われませんが、誤飲などをした場合には、皮膚や粘膜の炎症を引き起こし、また吸入によっては、呼吸困難を起こしてしまう場合もある危険物質です。

合成樹脂(プラスチック)には、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とがあります。が、固化しても加熱すると、再び柔らかくなる熱可塑性樹脂を利用したのがホットメルト接着剤(エチレン、酢酸ビニル重合体、ポリアミドなど)。
一方、硬化すると元に戻らない熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、メラミン樹脂など)は合板用接着剤として利用されます。

日本の接着剤の消費量の半分以上が合板用接着剤です。そして合板用接着剤であるフェノール樹脂、メラミン樹脂はホルムアルデヒドを原料としています。新築住宅のシックハウス症候群の主たる原因物質とみられているのは、合板用接着剤から気化するホルムアルデヒドです。

合成接着剤の種類・用途

種類 用途 毒性
水性(酢酸ビニルエマルション系) 木材、紙、布など 誤飲すると嘔吐、腹痛、下痢などアレルギーの原因に。
エポキシ系エポキシ樹脂系 金属、硝子、陶磁器など 接触性皮膚炎やアレルギー性疾患の原因となることも。
ゴム系(合成ゴム系、ニトリルゴム系 塩化ビニル樹脂製品、木材、金属など アレルギーの原因に。モノマーは肝臓障害を起こし発ガン性も。
その他 ホットメルト系(エチレン・酢酸ビニル重合体系、ポリアミド系)、瞬間接着剤(シアノクリレート系)など。いずれもアレルギーの原因に。

シロアリ駆除剤、床下の防腐剤

木造建築が健康にいいという先入観

一般的な住居は、コンクリートの基礎をつくり、その上に土台となる木材を固定し、柱を立ち上げて壁などを張っていく工法が用いられます。
日本の風土には、木造の住宅が多く当たり前につくられています。

この土台や柱となる木材には、建物の荷重がかかるために、湿気で腐ったり、シロアリに食い荒らされたりすると、住宅の寿命は著しく短くなります。

そこで土台や柱に防腐剤やシロアリ駆除剤をしみこませた木材が、当たり前に使用されています。しかし、こうした薬剤で処理された木材を多用した住宅に、アレルギー性疾患や慢性中毒症状が多く現れることが確認されています。
かつて、シロアリ駆除剤として多用された有機塩素系のディルドリン(強い急性・慢性毒性がああり1981年に使用禁止)、クロルデリン(1986年に使用禁止)にかわって登場した有機リン系のシロアリ駆除剤も、農薬による慢性中毒に似た健康障害を起こすことで大きな問題となっています。瞳孔が小さくなる縮瞳が有機リン剤の急性中毒の症状ですが、慢性中毒ではじわじわと進行する視力低下のほか、内分泌系の異常により免疫力も低下して、多種多様なアレルギー症状がみられるようになります。

木造住宅が必ずしも健康住宅ではないのです。土台や柱には防虫効果があって、耐久性に優れた檜やヒバを使い、できるだけ合板も使わないことが望ましいのです。

シロアリ駆除剤とその毒性

系統 薬品名 毒性
有機塩素系 クロピリホス、DEP(トリクロルホン)、ECP(ジクロフェンチオンン)など 変異原性、催奇形性。ECPには、ダイオキシンを含有する疑いも。
有機リン系 MEP(フェニトロチオン) 変異原性
CVMP(テトラクロルビンホス) 発ガン性
ホキシム 有機リン系の中では比較的低毒性と言われている。
ピレスロイド系 アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリンなど 粘膜刺激作用、呼吸困難、一部には発ガン性
カーバメート系 PHC(プロポクスル)など 呼吸困難、変異原性、発ガン性の疑いも。

木材防腐剤とその毒性

クレオソート 古くから使用されてきたタール系防腐剤 ベンゾピレンなどの発ガン物質を含む
ジニトロフェノール 写真の現像液にも使用 白内障、失明、肝障害など
TBZ
(チアンベンダゾール)
農業用殺菌剤として広く利用 肝臓障害、変異原性、催奇形性
ナフテン酸銅 殺菌剤として使われたきた有機銅剤 銅による金属中毒症状魚類に対しては強毒性。
塩化ベンザルコニウム 逆性セッケンとも呼ばれる陽イオン界面活性剤 誤飲は非常に危険。微量でも目に入るとアレルギー性結膜炎を発症する。

肺ガンの原因にもなるアスベスト

熱に弱点の鉄筋・鉄骨

建築基準法では、大規模な建築物は、主要構造部をすべて耐火構造にすることが義務づけられています。二階建て以下の住宅などの建築物についても外壁を耐火構造にしたり、主要構造物を不燃材料や準不燃材料でつくることが要求されています。

コンクリートが耐火性に優れていることは言うまでもありませんが、ここで問題となるのは、鉄筋・鉄骨コンクリート造の建築地物において、コンクリートは鉄筋や鉄骨の助けを借りて自らの荷重を支えているわけですが、鉄骨や鉄筋は常温では頑丈なものの、火災により加熱されると、アメのように柔らかくなり建築物の荷重を支えきれなくなる点です。そこで鉄筋や鉄骨には、十分なコンクリートの被覆(かぶり厚さ)がまた、むきだしの鉄骨には、ロックウール(岩綿)やアスベスト(石綿)による耐火被覆が必要になるのです。

アメリカの8倍もの使用量

ロックウールはちょうど綿菓子をつくるように、ケイ酸塩を含む岩石を熔融して、これに空気を強く吹き付けて急冷し綿状にしたものです。

一方、アスベストは繊維のケイ酸塩鉱物をもみほぐして得られます。日本で使用されるアスベストはほぼ10%近くがカナダやブラジルなどからの輸入品です。

アスベストはぐれた耐火覆材ですが、発ガン性があることが明らかにされています。耐火被覆材としてのアスベストの吹きつけは、1975年に原則的に禁止されました。しかし、その後も他の吹きつけと混合して使われている状態です。これは今なお、年間約80万tのアスベストが輸入されていることかわらもわかります。日本の使用量はアメリカの8倍です。さらに、人口1人あたりでは16倍もの数字になります。

アスベストによる健康被害は、主に空中に飛散するアスベスト繊維の吸収によるものです。大量のアスベスト繊維を一気に吸収した場合、あるいは少量でも長期間にわたって吸収し続けた場合、肺が繊維化するアスベスト肺(石綿肺)を起こします。治療法は現在のところ確立はされていません。

重いアスベスト肺になると呼吸困難を起こして死亡することがあるほか、やがて肺ガンや悪性中皮症へと以降する危険性も高まります。1995年には、特に毒性の強いアスベストの使用、製造が禁止されました。が、しかしアスベストを使った古い古い建造物を解体するとき、繊細なアスベスト繊維が粉塵に混じって飛散するのは避けられず、新たな環境問題として作業方法の基準づくりなどが求められています。

アスベストに関連するお仕事をしたことおがある、または現在している方は自分でできる!肺ガン検査キットで肺ガンの検査を行いましょう。肺がんの中でも、レントゲンには写らない早期の肺門部(気管支周辺の肺)のがんを発見するため、痰(たん)中に異形細胞(がんの疑いがある細胞)があるかどうかを顕微鏡でくまなく探すための検査キットです。郵送で行うことができます。病院には行かなくてできます。

シックハウス症候群

新築住宅に住み始めると急に心身が不調に

症候群(シンドローム)とは、心身にいくつかの異常な症状が認められても、その原因が明らかでなかったり、複数の原因が考えられるとき、病名に準ずるものとして、とりあえず命名されたものです。

新築あるいは、改築間もない家に住み始めてから、目がちかちかしたり、のどが痛んだり、鼻が乾く、あるいは、鼻水がでるといった症状にはじまり、頭痛やめまい、耳鳴り、イライラ、睡眠障害など、さまざまな心身の不調が現れることがあります。これが新築病とも呼ばれるシックハウス症候群で、同様の症状がオフィス、マンションでも起きるときは、シックビル症候群などと呼ばれます。

シックハウス症候群の主たる原因といわれるのが、壁材、床材などの建材、塗料や接着剤に含まれている化学物質です。なんでも近年、大きな社会問題になっているのが、一部に発ガン性が報告されているものもあるVOC(揮発性有機化合物)です。労働安全衛生法法で規制対象になっているは47品目です。次にVOCを紹介します。

シックハウス症候群の原因となっているVOC(揮発性有機化合物)

ホルムアルデヒド(ホルマリン)

合板はじめ、壁紙、フローリング、家具の接着剤などに使用。新築住宅でツーンとした異臭を発するのは主にアルデヒド。皮膚、粘膜への刺激性が強く呼吸器障害のほか、中枢神経障害や発ガン性も報告されている。

トルエン・キシレン・ベンゼン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン

芳香族化合物特有の芳香を特徴とするベンゼンおよびベンゼン誘導体。塗装用溶剤、樹脂ワックスの溶剤などに多用されている。主な症状は、吐き気、頭痛、めまいなどベンゼンには発ガン性もあり。

酢酸ブチル、n-ブタノール

果実のような芳香のある液体。プラスチックの溶剤や香料の原料としても使われる。吐き気、頭痛、めまいなど。

テトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物

ドライクリーニングのほか、油脂の洗浄剤などとして広く使用される。

ナフタレン

防虫剤。白色結晶から気化して特有の強い臭気を放つ。水には不溶だが、有機溶媒にはよく溶ける性質を持つ。粘膜刺激作用、血液障害など。

フェンチオ(MPP)、クロルピリホスなど

有機リン系殺虫剤。吐き気、頭痛、めまい、中枢神経障害など。