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トリフェニルスズ(TPT)

トリブチルスズ(TBT)と同様に毒性の強い有機スズ化合物です。これも同じく漁網や船底につく海藻、貝類を殺すために使用されてきました。

1960年代には日本では農薬として使われていた時期もありました。ほかには、家庭用の防菌剤や防かび剤として使われていました。皮膚への刺激が強く1979年には家庭用防菌剤としての使用は中止されています。
船底塗料や漁網の防汚剤としての使用は続いていました。

トリフェニルスズ(TPT)の汚染濃度を調べると海水の濃度は低くても、魚はかなり汚染されていました。全国で汚染が認められていた魚は、スズキ、ウグイ、ボラ、マコガレイ、イシガレイ、アイナメでした。これらの魚に含まれているトリフェニルスズ(TPT)は、最高で2.6ppmにも達し、WHOが定めた0.5マイクログラムの10倍近くになりました。

トリブチルスズ(TBT)

海の汚染問題が環境問題の中でも取りあげられていますが、その主となる汚染物質のトリブチルスズ(TBT)。養殖のはまちに発生した奇形などの原因とも言われ、劇物指定されてる毒性の強い化学物質です。

日本では、養殖に使用される漁網の防汚剤や養殖場を囲むいけす網に海藻や貝が付着しないための塗料として使用されてきました。アメリカ、ヨーロッパでは、船底の底に塗られる防汚剤塗料に有機スズが使用されていました。

世界ではじめて有機スズの汚染問題に注目されたのは、1980年にフランスのカキの養殖場で奇形のカキが発生したときです。このとき法律で有機スズの使用を禁止。1980年代後半になってからは地球レベルでTBT汚染が明らかになりました。

人間への害では、人間の体内に蓄積されると、成長障害が発生したり、白血球やリンパ球が減少する症状が発生し、害が証明されています。

この汚染での注目点は、各種巻貝の生殖器に異常をもたらしたことです。インポセックスといいメスの巻貝にオスの生殖器が発達してしまったのです。
また、高い確率で排卵障害を起こし、産卵できないメスが現れました。そのことで個体数が減少しました。ごくごく微量でも発生する恐ろしさを秘めています。
魚の体内では1万倍にも凝縮されるため危険な化学物質となっています。

フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)

フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)などのフタル酸エステル類は、プラスチックに柔軟性を与える可塑剤として世界中で利用されてきました。この物質はプラスチックと強く結びつくことができないために、プラスチックから溶け出す性質をもっています。さらに気化するため、環境の中に放出されるのです。これは、空気中、大地、そして水の中にも存在するということです。またさらに分解性もよくなくかなりの期間で地球上に残るということです。ただし分解性だけの面でいえば、ポリ塩化ビフェニル(PCB)ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)よりははるかにましです。

フタル酸エステルは、おもに食品を包む包装材に含まれるため、食品から容易に入ってしまいます。ラミネート包装やラップなどがそうですが、それ以外にも食品容器の印刷などに使われるインクなどにも使用されます。

エストロゲン様物質と同じように、脂肪に対する親和性が強いので脂肪をたくさん含んだ食品を汚染します。チーズ、ポテトチップス、チョコレート、バターなどが汚染されやすくフタル酸エステルが含まれていたチーズがあったほどです。
さらに体内に取り入れられたフタル酸ジエチルヘキシルをラットに与えた実験によると、フタル酸ジエチルヘキシルを与えられた母親から生まれたオスは、健康なオスのラットと比べて精子数が20%も減少していました。さらに精巣のサイズも縮小していました。

ビスフェノールA

ビスフェノールAはポリカーボネートの原材料でプラスチックから溶け出します。缶詰の内側にコーティングされているプラスチックからはこの
ビスフェノールAが溶け出しエストロゲンに似た作用を示します。

大学で20個の缶にいて行われた実験の結果は、14個にガン細胞を分裂させる十分なビスフェノールAが含まれ検査した缶詰のおよそ7割にエストロゲンと似た作用が認められました。

スペインにおいては、虫歯予防に使われるシーラントからビスフェノールAが採取されたという報告もあります。

日本では横浜国立大学環境科学研究センターの調査で6種類のポリカーボネート樹脂製の哺乳瓶に95度の熱湯を入れ、24時間後に哺乳瓶から溶け出したビスフェノールAを測定したところ、すべての哺乳瓶から検出されています。
何度も使った食器や哺乳瓶からより多くのビスフェノールAが溶け出していることもわかっています。

環境庁の調査でもポリカーボネート樹脂製のボトルから溶け出すビスフェノールAの数値は洗浄すればするほど高くなることがわかっています。
ポリカボネート樹脂はプラスチックの一種で熱が伝わりにくく、強度も十分にありしかもコスト安のために多くの給食現場でも使用されているのが現状です。

普段、周囲にはポリカーボネート樹脂製でつくられている清涼飲料水用のペットボトルがあります。ほかにもベビーフードの入れ物、そして哺乳瓶などに含まれています。加熱するとその成分が溶け出してしまうのです。

ポリ塩化ビフェニル(PCB)

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、18世紀後半に人工的に合成された、絶縁作用の強い化学物質。実際に使用されるようになったのは20世紀に入ってからです。これらは209種類にも及びます。

1929年にアメリカでビフェニルと塩素を結合して合成された化学物質のPCBは化学的に安定性が高く、熱にも強く燃えにくく、さらに絶縁性にも長けていることから、トランス、スイッチ、ブレーカー、その他、熱媒体やノーカーボン紙などに広く使われるようになりました。
ところが1966年スウェーデンの学者が天然の魚からPCBを発見。その時から安全性に大きな疑問が生じました。調査を行った結果、北極、南極などにまで汚染の範囲が広がっていることがわかりました。
毒性については、アメリカの大学で調査され、その結果、PCBもジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)と同様に性ホルモンの代謝に悪影響を与え、エストロゲンの分解を促進することが判明しました。しかもPCBが天然エストロゲンを分解する能力はジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)よりも強いといわれています。

ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)

DDTは19世紀の後半にはすでに合成されていましたが、1938年以降、殺虫剤として大量に使用されました。日本では戦後にしらみをとるために頭からかけられた人もいたようです。日本では1969年12月にDDTの製造が、1971年には使用も禁止されています。
それまで農薬として使用されてきたDDTは食物連鎖の過程を経て、どうしても人間の体内に入り込んでしまいました。これを裏付けるように地球上のあらゆるところでDDTが検出されるようになりました。

こうした化学物質は、北極や南極でも検出されています。北極の場合には、シロクマから、南極の場合にはペンギンの体内から見つかっています。DDTの汚染は地球上のあらゆる地域にまで広がっているのです。そしてこのDDTが環境ホルモンであることも判明しました。

DDTが肝臓に存在している酵素の構造を変化させる作用があることが発見されています。また、DDTの作用が、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンといった性ホルモンの構造や分泌を変化させることもわかってきました。そして性ホルモンの代謝を変化させることで、生殖に影響を与えているのです。

DDTの問題点は、自然界では簡単に分解されないことです。半減期がほぼ100年といわれるだけに長い間残ってしまうのです。この高い蓄積性が問題となっています。さらに脂肪と結合しやすい性質をもっているので、体内の脂肪組織にとけ込み、蓄積されてしまうのです。

ジエチルスチルベストール(DES)

ジエチルスチルベストールは、卵細胞や胎盤で生成される「エスロゲン」という女性ホルモンと同様の働きをします。1960年代の後半にアメリカで流産防止用として使われた合成女性ホルモンです。
1970年頃、思春期を過ぎた年頃の若い女性の間に膣ガンが多発しその原因を調査したところ、患者らの母親が妊娠中にジエチルスチルベストールを服用していることがわかりました。

ダイオキシン

1gで1万数千人もの人が死んでしまうという猛毒化学物質。その毒性の強さは青酸カリの1000倍以上、サリンの2倍です。最近になってダイオキシンも環境ホルモンであることがわかってきました。甲状腺ホルモンの濃度を操作し、過剰に分泌させて口蓋裂という奇形を発生さます。加えて高濃度のダイオキシンを与えると精巣が萎縮することから性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの濃度も変化させます。

日本では1983年に行った調査で中国、四国、九州地方の12カ所のごみ焼却場から、ダイオキシンが検出されています。ダイオキシンは遺伝子のみではなく、中枢神経にも影響を与える上に発ガン性が確認されています。

ベトナム戦争では、ダイオキシンが不純物として含まれていた枯れ葉剤が使われ、散布された地域で多くの流産や奇形児の出産が増加したといいます。ベトナム戦争に従事していた兵下達の血液中に含まれるダイオキシン濃度を検査したところ非常に高濃度のダイオキシンが検出されました。当然ですが、この兵士たちの妻は不妊、早産、流産、奇形などの発生率が高く、特に奇形については、ベトナム戦争と無縁の人と比較すると15倍にもなりました。

ダイオキシンの問題を遙か昔のベトナム戦争で使われた薬剤だと思っている人も多いのですが、現代社会の周りにもたくさん存在しているのです。紙の原料であるパルプの漂白にはかつて塩素が使用されていました。漂白に一緒に使われる消泡剤やパルプの成分などが塩素と反応するとダイオキシンが発生します。
製紙工場では、防腐剤としてペンタクロフェノールという化学物質を使っていますが、この中にダイオキシンが混ざっています。また分析技術の発展によりダイオキシンが製品である紙にもふくまれていることがわかりました。
日常的に使用するトイレットペーパーやティッシュペーパーのような製品からもダイオキシンが検出されたのです。現在では、紙の漂白には、塩素の代わりにオゾンや過酸化水素水などが使用されるようになり、紙にダイオキシンが混ざることとはなくなりました。

また、多くの食品には微量ではありますが、ダイオキシンが混入しているのです。母乳には牛乳に含まれるダイオキシンより多くのダイオキシンが含まれています。家畜がダイオキシンを含んだ食品を食べることで、それらの肉や乳製品にもダイオキシンが含まれてしまうのです。日常的に食べる魚にもダイオキシンは含まれます。また、木などを燃やす際にもダイオキシンは発生します。一般的には1トンのゴミを燃やすと0.1mgのダイオキシンが出るといいます。

世界保健機関では、ダイオキシンの1日あたりの耐容摂取量を体重1kgあたり10ピコグラムと定めています。体重が50kgの人であれば、500ピコグラムとなります。この値はどんどん下がっていくに違いありません。