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洗剤を混ぜると危険

洗濯用・台所用洗剤と違って、バスタブ用洗剤、トイレ用洗剤、タイルのカビとり剤などには、強い毒性をもった化学物質が使われます。これは物理的に汚れを落とすのが困難であったり(タイルの目地のカビなど)、大面積で手間がかかったり( バスタブのア力落とし)、不潔感があって手を汚すのを嫌ったり(トイレの便器の汚れ落とし) するためです。
これらの化学系洗剤は、酸・アルカリあるいは塩素による汚れの有機物の分解作用を利用したものです。いずれも単独でも皮膚粘膜への強い刺激・腐食作用をもっているので注意が必要ですが、何よりも注意しなければならないのは、酸・アルカリ系洗剤と塩素系洗剤との混和です。猛毒の塩素を大量に発生させるからです。混和しなくても、酸・アルカリ系のバス・トイレ用洗浄剤を使ったあと、さらに汚れを落とそうと、すぐに塩素系洗剤(塩素系漂白剤を含む)を使ったため、発生した塩素によって中毒死するという事故が起きています。

塩素は第一次世界大戦でドイツ軍が用いた毒ガスです。目、鼻、気道の粘膜への強い刺激性性があり、肺から吸収されて細胞を損傷します。塩素系洗剤は通常の使用状態でも、わずかながら塩素が発生するので(カルキ臭というのは塩素の臭い)、狭いトイレや風呂場を締め切ったまま、塩素系洗剤で汚れ落とし作業をするのはきわめて危険です。

事故が起きて以来、洗剤のパッケージには大きく「危険!混ぜるな」などの注意書きがかかれていますが、特に注意しなければなりません。

酸・アルカリ系

主成分は塩酸や水酸化ナトリウムなどの強酸・強アルカリ。皮膚や粘膜に対する強い刺激・腐食作用があります。
応急処置は、皮膚に接触した場合、目にはいった場合はすぐに水でよく洗い流します。目に痛みが残るようであれば医師の診断を受けます。誤飲した場合は吐かせず、水や牛乳を飲ませて希釈し、すぐに医療機関で治療を受けます。

塩素系

主成分・は次亜塩素酸ナトリウムなど。酸化漂白剤と同じ成分・作用で有機物を分解します。強い毒性をもつ塩素が発生します。応急処置は、皮膚や目への接触は、酸・アルカリ系洗剤と同じです。塩素を吸収したらすぐに新鮮な空気のところに移動します。目がチカチカしたり涙や鼻水が出たり、呼吸困難などの症状があれば、塩素中毒の危険性があるので医師の診断を受けます。

漂白剤、パイプクリーナーの危険性

漂白剤とたわしのさびが中毒症状を起こした例もある

「漂白」とは有機物の分解反応のことです。そのため殺菌や、腐敗物の脱臭にも効果を発揮します。塩素に強い殺菌作用があるようにみえるのは、水溶液中で塩素が次亜塩素酸となり、この次亜塩素酸が反応性の激しい酸素を放出して、細菌類の細胞の元素と結合し、酸化してしまうからです。漂白には酸化漂白と還元漂白があります。
現在、家庭で使われる洗濯用漂白剤、台所用漂白剤、トイレやバスのカビとり剤などの主成分は次亜塩素酸ナトリウムです。これはサラシ粉による殺菌・消毒と同じ化学反応による酸化漂白です。これらの塩素系漂白剤は、漂白・殺菌過程で猛毒の塩素を発生するので、苦から多くの中毒事故を引き起こしてきました。とくに酸・アルカリ洗剤との混合は、塩素の発生を促進することになるので絶対にしてはなりません。また塩素系漂白剤は、クレンザーに含まれる成分や、鉄サビによっても塩素を発生します。漂白剤をかけ、亀の子タワシでこすっているうちに、亀の子タワシの針金のサビとの反応で塩素が発生し、中毒事故が起きた例もあります。

還元漂白は塩素を発生しないが別の危険な化学物質が使われている

還元剤による還元漂白は、酸化漂白ほど強い効果はありませんが、塩素を発生しないため、亜硫酸ナトリウムなどがパイプクリーナー(排水パイプの詰まりを除去する洗剤) などに用いられています。ただし、亜硫酸ナトリウムも危険な化学物質であることに変わりありません。