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化学物質過敏症はどのように発見されたのか?

アメリカの医師セロン・G.・ ランドルフによる分析

環境汚染の影響がすぐに自然破壊となって現れはしないように、化学物質過敏症も人体内部でじわじわと進行して、やがてある日突然、各種のアレルギー症状となり現れます。

アレルギーという概念が提唱されたのは、20世紀初頭ですが、牛乳、卵、大豆による食物アレルギーが正式に認められるようになったのは、比較的最近です。
つまり、病気が存在しながらも、正式には病気として認められなかった時代が長らく続いていたのです。これは、近代西洋医学においては、原因や病変部位がはっきりしているものを病気と呼んでいるからです。

アレルギーがまだわけのわからない病気とみられていた約40年も前から、環境汚染物質とアレルギーの関係に注目したのは、アメリカの医師セロン・G.・ ランドルフです。彼は患者が訴える病状とその原因となる道の化学物質の関係を、膨大なデータの収集と分析によって突き止めるとともに、その化学物質を排除した特殊な環境制御施設に患者を入所させることで慢性疾患となっていたアレルギーが回復することを実証しました。。

無効量で発症する化学物質過敏症

薬理学(毒物学)における毒性試験では、まず有毒成分を抽出し、実験動物を使い投与量を増加しながらその作用を調査します。はじめに毒物ありきなのです。しかし、セロン・G.・ ランドルフの研究においては、毒物は未知なる「X」であり、それを身の回りの膨大な化学物質から絞り込むことがテーマにありました。これは気の遠くなるよな作業でしたが、結果として中毒量には達しないppb(10億分の1)~pp(1兆分の1)というごく微量の化学物質が、各種のアレルギー反応に深く関わっていることが判明したのです。

化学物質の生体への作用をその量からみると以下のようになります。

  • 無効量…化学物質過敏症
  • 薬用量…アレルギー
  • 中毒量…中毒
  • 致死量…致死

ここで注目すべき点は、薬理学(毒物学)的にいうと、化学物質過敏症は無効量において発症しているということです。無効量とは投与によって、毒性はもとより、薬効らしき生体反応も示さない、毒にも薬にもならず、人体がただ淡々と代謝するだけのわずかな量のことです。
これは、薬物とその生体反応の因果関係は、単純な比例関係にないことを示します。