生活防衛マニュアルと環境ホルモンについて考える

フタル酸ジエチルヘキシル ( DEHP ) 毒性

フタル酸ジエチルヘキシル ( DEHP ) 毒性 についてです。フタル酸ジエチルヘキシル ( DEHP )などのフタル酸エステル類は、プラスチックに柔軟性を与える可塑剤として世界中で利用されてきました。

環境ホルモン物質として人体や環境への影響が懸念されており、主に塩化ビニール ( PVC ) の可塑剤(熱可塑性合成樹脂に加えて柔軟性や対候性を改良する添加薬品類の総称)に使用される化学物質です。

最適な特性と費用の低さから、DEHP は可塑剤としてポリ塩化ビニルの製造に広く使用されています。プラスチックには1%から40%の DEHP が含有されます。また油圧油やコンデンサーの誘電体としても利用され、サイリュームの溶媒にも使用されています。

フタル酸ジエチルヘキシル ( DEHP ) 毒性
フタル酸ジエチルヘキシル ( DEHP ) 毒性

フタル酸ジエチルヘキシル ( DEHP )

この物質はプラスチックと強く結びつくことができないために、プラスチックから溶け出す性質をもっています。さらに気化するため、環境の中に放出されるのです。これは、空気中、大地、そして水の中にも存在するということです。

プラスチック類の可塑剤として平成27年には188,087トンが生産され、日本で生産される可塑剤全体の約 80%のシェアを占めています)。中でも、フタル酸ジエチルヘキシル ( DEHP ) の生産量は、フタル酸系可塑剤の 60%強を占め、汎用可塑剤として広く使用されています)。

DEHP は、平成 5 年 3 月に、「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの」として、要監視項目に設定され、0.06 mg/L以下の指針値が示されました。

またさらに分解性もよくなくかなりの期間で地球上に残るということです。ただし分解性だけの面でいえば、ポリ塩化ビフェニル ( PCB ) ジクロロジフェニルトリクロロエタン ( DDT ) よりははるかにましです。

フタル酸エステル 類の用途

軟質塩ビとして壁紙・床材・天井材などの建材、電線の被覆材、農業用フィルム、ホース・ガスケット、⾃動車の内装材・家具などに使われるレザー、履き物、⾐類、包装⽤品、などです。

また フタル酸エステル は塩ビ以外にも塗料、顔料、接着剤など、また油圧油やコンデンサーの誘電体としても利用されています。

フタル酸エステルは、おもに食品を包む包装材に含まれるため、食品から容易に入ってしまいます。ラミネート包装やラップなどがそうですが、それ以外にも食品容器の印刷などに使われるインクなどにも使用されます。

安全なラップ選び(ポリエチレン製を選ぶ)

エストロゲン様物質と同じように、脂肪に対する親和性が強いので脂肪をたくさん含んだ食品を汚染します。

チーズ、ポテトチップス、チョコレート、バターなどが汚染されやすくフタル酸エステルが含まれていたチーズがあったほどです。

医療機器にも

DEHP はかつて点滴のプラスチックチュープやバック、カテーテル、流動食チューブ、透析チューブやバック、血液バック、気管チューブ等の医療機器に可塑剤として利用されていました。そのため、患者は DEHP に曝露されていたと考えられています。特に NCU の未熟児や血友病患者や透析患者は注目されています。2002年6月にアメリカ食品医薬局は DEHP に関するPublic Health Notificationを発行し『男性の乳児、未熟児または男性胎児の妊婦にはこれらのリスク回避のためにDEHP不使用代替物の利用を推奨する』としています。DEHP 不使用代替物はDEHP接触を避けるためと考えられます。

さらに体内に取り入れられたフタル酸ジエチルヘキシルをラットに与えた実験によると、フタル酸ジエチルヘキシルを与えられた母親から生まれたオスは、健康なオスのラットと比べて精子数が20%も減少していました。さらに精巣のサイズも縮小していました。人間での実験はされていませんが、おそらく同じような結果になりそうです。

フタル酸ジエチルヘキシル 評価

しかしながら、わが国一般住民の DEHP によるヒトの健康リスクについては十分に評価されたといえる状況でありまえん。 既報の DEHP に関するモニタリングデータ等を用いてわが国住民の屋内外空気、食事、母乳、人工乳(粉ミルク)および離乳食経由の年齢群別 DEHP 摂取量分布をモンテカルロ・シミュレーションで推定しました。

推計されたDEHP摂取量を1歳以上の年齢群別にみると、幼児期の DEHP 摂取量が高く、摂取量には食事が大きく寄与し、屋内外空気はほとんど寄与しないと考えられました。

また、1歳未満の乳児の母乳、粉ミルクおよび離乳食経由のDEHP摂取量は1歳児の1/2以下でした。

さらに、既報の有害性情報からヒト健康リスクを評価する際のエンドポイントを精巣毒性と生殖毒性とした。これらのエンドポイントの無毒1生量を3.7mg/kg/日(精巣毒1生)と14mg/kg/日(生殖毒性)とし,リスク判定時の基準マージンは、精巣毒性には30、生殖毒性には100が妥当と判断しました。

選択したエンドポイントに対するリスクは、DEHP 摂取量が各エンドポイントの無毒性量を基準マージンで除した値を超える確率として求めました。

環境ホルモンの種類

モバイルバージョンを終了